街の中のなにげない風景にもさまざまなものが写り込む。多くの写真作家がその写り込む何かを求めて、街の中のさまざまな様子を写真に写し撮ろうと街を歩く。
新宿のペンタックスフォーラムへ片岡義男「撮る人の東京」というタイトルの写真展に出かける。東京写真月間というイベントの一環らしいが会場に飾られた街の断片が東京という街の一面を映し出していて、撮影者の視点を感じて面白い。渋谷や新宿と言った常に新しく生まれ変わる町がある一方で、東京には時代に取り残された街角が街の記憶のように残っている。
写真展を一通り見て、会場のあるセンタービルの地下から地上に出ると、高層ビルと夕闇の空の今の東京が迫ってきた。目の錯覚を起こしそうな歪んだ新しいビルのある風景を見ていると、東京の別の面が見えてくる。
さて、写真展と写真展と同時に出版された写真集を見ていて、ふと、あることに気が付いた。写真展を見るとその最後に提示されたカレーライスが食べたくなってくる。もっと困ったことに、写真集を見ていると要所要所に配置された写真からオムライスがしきりと食べたくなる。もしかすると、深層心理に働きかけるサブミナル効果があるのかもしれないと思ってしまった。残念というか、新宿にはそこのオムライスが食べたくなるような店を知らなかったのが幸いだったのだが。
ちなみに、何度か書いた夜の街の記憶をナイトハイク・イン・マツモトと題して仮展示中です。東京の昼間の景色と地方都市の夜の風景。何かしら近いものがあるように感じられてならない。
PENTAXアルバム:ナイトハイク・イン・マツモト