イラク戦争から6年目

2009年、イラク戦争から6年目。2003年の3月20日、当時小学校に上がろうとしていた幼稚園児が、卒業するわけだから、実に長い戦争だ。僕は、2009年を卒業の年と位置づけ、もう本当に、こういう戦争を終わりにしようといきまいていたのだが、確かに治安は良くはなったものの、8月、10月、12月と、100人を越える死者をだしたテロが起こり、まだまだ、安心して住める国ではないどころか、復興も進んでいない。

2009年は、バスラを含め、6回イラク入りした。そこで、多くの子ども達に再会することができ、本当に大きくなっていたのにはびっくりした。そんな子ども達にスポットを充てて、絵本を2冊上梓した。

『おとなは、どうして戦争をするのⅡ イラク編』(新日本出版)
子ども達の、直面した困難と成長を記録し、童話作家の本木洋子さんにも、わかりやすく、イラク戦争の過ちを書いてもらった。

そして、年末に出来たのが、『ハウラの赤い花』(新日本出版)サマーワの白血病の少女、ハウラの絵だけで、絵本を作った。ハウラの絵を楽しめるように、絵本としての完成度を目指した。図書館などで、「いないいないばあ」「ぐりとぐら」とかと一緒に並ぶとうれしい。日本の子ども達が、イラクの子どもの絵を感じてほしい。

早速、出来立ての本を、6ヶ月のわが息子に見てもらった。ゼロ歳の子どもから楽しめる絵本というのは結構あるらしく、我が家も、童話館のブッククラブに登録し、毎月2冊づつ本が届くようになった。しかし、けらけら笑いながら、本を手にするも、すぐにかじりだし、隅を食べてしまった。これはと思い、あわてて取り上げる始末。赤ちゃんの唾液が馬鹿にできなく、あっという間に、本が溶けてしまうのである。

その昔、パレスチナで、友達の家に絵本がなく、「どうして、絵本を買ってあげないのか」とたずねた所、「一度買ってやったら、食ってしまったよ」というので、うーん、日本の子どもに比べてなんとたくましいのかと半ばあきれていたのだが。。。ゼロ歳児の読み聞かせは、なかなか根気がいるものだ。イラクでは、こういった赤ちゃんが、5歳になるまでに、(1000人中)100人は死んでしまうのだ。

イギリス政府がイラク戦争について、参加からイギリス軍が完全撤退した今年までの包括的検証をするということで、12月24日に「イラク調査委員会」の公聴会をロンドンで開いたという。ジョン・チルコット委員長は「イラクへの関与から教訓を学ぶために徹底的かつ客観的で公正な」報告書を来年末までにまとめる方針を示した。公聴会には、ブレアも証人として呼ばれるという。

そこで、日本でも、これはやらなきゃいけないと、市民のネットワークが立ち上がった。民主党は、もともと、イラク戦争に反対していたから、この検証には乗り気だが、いかんせん目の前の問題が山積しており、首相も、外務大臣も大忙しである。外務省の役人と話をしていたら、「道義的には、戦争に反対だった。しかし、日本にアメリカをとめる力はない、日米関係と国益を考えたら、戦争を支持するしかなかったであろう」という。民主党内でも、もし、当時私たちが与党だったら、やはり、アメリカを支持するしかなかったと思う。検証するのなら、日本の政策ではなく、ブッシュの政策だ。という意見。

大人は、国益で納得できても、子どもにはそういう話は通用しないだろう。今年も、僕は、子どもの目線でやりたいと思う。

というわけで、新年よろしくお願いします。