作曲家に音楽作品を委嘱する理由の一番の目的はリサイタルで弾くため
とか CDに入れるため
というのが一般的には多い
自分のリサイタルで弾くために新作を数人の作曲家に頼んでいて この数日で
2曲ができあがった
高橋悠治さんは過去にギターソロ作品を2つ書かれている
メタテーシスⅡと ダウランド還る
(しばられた手の祈りはギターにもなっているがオリジナルはピアノ)
この2作品に限って言えば、調弦が大変特殊で 弾くのはもちろん
譜を読むのも大変難しいし暗譜は無理
4度の積み重ねという独特なギター調弦によって音群が動いていく メタテーシスⅡ(音位転換)
言葉で音楽を説明することはできないので 曲を知りたいなら聴くか弾くしかない
聴けば なるほどこういう事か、とわかる(かもしれないし そうでないかもしれない)
この曲の指示にある「ヴィブラート禁止」はとても面白い
ギターという楽器特有のロマン臭もこれでだいぶ消える
ダウランド還るは朗読つきの曲
メタテーシスⅡにも言えることかもしれないが ギタリストにはこういう曲は書けない
かと言ってピアニスト的な曲でもない
これはダウランドのリュートの手の型も使われているが
だからと言って こういう曲は他にない
一方 2009年の年末?2010年の年明けに書かれた
重ね書き‐Rastros
これは これまでのギター作品とは少し違う(と思う)
まず 普通の調弦で弾ける
音もだいぶ少なくなった
タイトル通り 少しずつ重ね書きされた作品で
書いた線をなぞり それが 少しずつずれていく
気がつくと 別の風景になっている
というような音楽(でしょうか)
これは弾き方(手)だけを家で覚えて(練習して)
あとは演奏する場のニュアンスで 弾き方をかえる
という事にしたい と思っています
「これは」というか もうこれからはどの曲もそうする
カルロ・ドメニコーニというイタリア人のギタリスト、作曲家にも
リサイタルで弾くように何か書いてくれないか と連絡してみたら
一曲本当に書いてくれた
共通の知人が突然亡くなり、その彼の追憶に捧げられた
しかし 内容はペルーアンデス音楽の手の型を使って書かれている
あと数人に新作を頼んでいるが
どういう曲ができるかわかりません
委嘱をするって どういう事なのだろう と考えています