穴の中で

ピースボートに乗ることになった。船の中で、イラクやら、平和やらの講義をするのだ。僕は、忙しかったので、横浜からシンガポールまでの10日間だったが、100日かけて世界を一周する。

乗ってみて驚いたのは、850名のうち450名が60歳以上だ。僕は、若い人たちが、世界を旅行してもりあがるのがピースボートと思っていたが、ぜんぜん違った。しかし、僕の仕事は、20代が大半の30名の学生に朝、講義をする。夕方と夜は、一般向に講演というわけで、結構忙しかった。講演を熱心に聴いてくれたのは、やはり団塊の世代だった。
寄港地は、中国とベトナム。

ベトナムでは、農家に連れて行ってもらった。ベトコンをかくまっていたという秘密の穴があるという。仏壇の脇に確かに小さな穴があって、地下の通路とつながっている。かなり小さいのだが、中にはいってみたくなった。やはり、ベトコンの気持ちは、はいってみないとわからぬ。
かなり小さい穴で、中は、土管になっている。もちろんなかは真っ暗。船の中での運動不足がたたったのか、体が途中でひかかりそうに。歩腹前進でないと進めない! 米軍が穴を見つけたら手投げ弾を投げ込んで爆破する。こんなところで、生き埋めになってしまうのはいやだなあと実感した。

イラク戦争でも似たようなことがあった。サダムフセインが、アメリカ軍から逃げて、最後につかまったのは穴の中だ。ベトナムは35年以上前の戦争なのに、今のイラクの対テロ戦争と全く闘い方が良く似ている。イラクで民家をしらみつぶしに、テロリストを捜索する米兵。そして、一般市民が虐殺されていく歴史。そんなことを思いながらようやく光が見えてきた。今年は、ベトナム解放35周年。