8月末、アメリカ軍の戦闘部隊がイラクから撤退したという。2003年3月から7年5ヶ月にもわたり、米軍は戦闘行為を続けていたのだ。
ここに来てイラクの治安は、悪化している。アメリカは、それなりの成果を主張してイラクを去っていくつもりなのだろう。しかし、現実は、深刻だ。私の個人的な意見を言わせていただければ、この時期に、出て行くのはあまりにも無責任だ。
バスラでは、8月8日、爆弾テロがあり、43名が死亡したという。しかし、現地のイブラヒムは、150人は死んだといって、メールしてきた。数があまりにも報道とちがう。「本当か?」と問い合わせたら、「神に誓っていい。おそらくそれ以上だ」一度のテロで150人というのは、イラクの中でもそうはない。テロの起きたのは、クリニックなどが集まっている場所だ。「患者が、多く巻き込まれたんだ」イブラヒムが、がん病院で使う薬を調達に行く薬局も近くにある。
翌日、事故現場が封鎖され車が乗り入れられない。イブラヒムは手押し車に、薬を乗せて、テロ現場の横を通過する。25日には、北部モスルから南部バスラに至る13都市の警察施設などで、20発の爆弾が相次いで爆発した。武装勢力による計画的な連続テロだという。イラク政府に治安能力がないことをさらけ出させて一体次は、何を狙っているのだろうか?
イブラヒムは、電話口で、「みんな、とても怖がっている。バスラは60℃くらいに気温が上がって、電気も数時間しか来ない。それでも、もうそんなことには、みんな慣れっこになっていてどっちでもよく、一番怖いのはテロなんだ。だれも、外にはでたがらない」
今までの軍事作戦は、「イラクの自由」作戦。9月からは、「新たな夜明け」作戦が始まる。字面だけ見ていると、なんだか、とてもよさそうな響きがするのだが、イラク人にとって、新たな地獄が来ないよう祈るばかりだ。