インターネットを見ていたら、バスラで外科関係の国際学会が開かれるという。僕は、医者ではないのだが、少し興味があったので、問い合わせてみた。一番気になったのは、治安である。3月の総選挙以降いまだ、新しい政府が決まらず、その間の混乱でテロが増えているという。「ガードをつけますので、大丈夫です」との返事。招待してくれるという。
バスラはやはり昨年学会で、数日滞在したが、こういう機会でないとなかなか入れない。支援している子ども達に会うのももちろん楽しみなのだが、今回泊まるホテルがシェラトンホテルという5星のホテル。サダム政権時代にも、バグダッドとバスラにあった。バグダッドのほうは、アメリカ侵攻後も米軍が占拠して、外国人が何とか安全に泊まれるホテルとして機能しているが、バスラのほうは空爆されて、その後略奪にも会い、僕が2003年に訪れたときは、まるこげで廃墟と化していた。最近、ようやく再開したという。現地のニュースで取り上げられていたようで、楽しみだ。イラクもいよいよ外国人が、自由に行き来する日も近いんだろうなと希望にあふれたニュースでもある。
さて、ヨルダンのアンマンでは、2005年から活動を続けてきたJIM-NETの事務所を閉鎖することになり、後片付けでしばらく滞在することになったのだが、インターネットの契約も切れてしまったので、メールをするにもインターネットカフェにいちいちいかねばならずネット難民化してしまった。ヨルダンのインターネットカフェは名ばかりで、薄汚い部屋にパソコンが並んでいる。パソコン教室のような感じだ。最近は、おしゃれなカフェでもワイヤレスが使えるようになったが、こちらはコーヒー一杯450円もする。日本にいると常にオンラインでやり取りして最近はツイッターとかもはやっているから、そういう生活に慣れていると、ネットカフェを渡り歩くのは不便だし、ヨルダンは、昼間は渋滞がひどい。タクシーもなかなか拾えず、日差しが強いので、外でタクシーをまっていると干からびてしまうのだ。イラクに行けば、5星ホテルで、優雅にバスラからつぶやける。
しかし、問題はビザだった。前もってイラクのビザをとっておかないと、ヨルダンからの飛行機にすら乗せてもらえない。担当者に電話しても、「明日には何とかします」の繰り返しで、とうとう、予約しておいた飛行機は、明日の早朝発だ。担当者とも電話が通じなくなってしまった。「さては、プレッシャーでとんずらしたか」で、バスラ行きは中止に。
夜中に、バスラのイブラヒムから電話。「担当者は、携帯を事務所におきわすれたそうで、今さっき連絡がはいった。飛行場でまっているから来てくれだって」そんなこといわれても。「僕は行かないよ」ということで電話をきった。しかし、翌朝、バスラ大学の学長自ら電話をかけてきて、「ビザは大丈夫だ。翌日のフライトで来てほしい」というのだ。日本人が会議に参加するとはくが付くのだろうか? そこまで言われたら行こうという気になり、また、ネットカフェに何回か行って、ようやくビザのレターもダウンロードする事が出来た。
さて、予定より2日遅れで無事にバスラに到着。飛行場がまったりしている。米軍が撤退したからだろうか? パスポートコントロールで待っていると、BGMが流れていることに気づく。よく聞いてみるとなんとなく、日本の演歌のような。。。
さて、シェラトンホテルに到着。セキュリティは、民間の警備会社を雇っている。入り口で厳しいチェック。といいながらも、荷物の検査は、目視。実は、まだ完全に客室の工事が終わっていない。ボーイが部屋に案内してくれるが、カード式の鍵を知らないみたいで、ドアを明けられない。部屋はもちろん新しくてきれいだが、トイレには、だれかの糞が流していない!!
さらに、悪いことに、インターネットの回線がまだ来ていないという。「明日には来ます」とフロント。また、明日か?? ホテルの外のネットカフェにでも行ったらそれこそ、人質になりそう。
「バスラで優雅につぶやく」はずだったのに。というわけで、イブラヒムに町のインターネットカフェからこの原稿をおくってもらうことにする。うまくいくかどうか。
バスラから愛をこめて