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教室でふたこぶらくだが眠っている
泉を欠き空調機がうなる人工の空間で
トィックトィックと足音を立てながら
アスファルトの回廊を歩いてゆく夢を見ている
かれらのキャラバンサライはいくつかの
地平線を後退したところにある
それからかれらは夢の砂漠で
道案内のいない隊列を進めてゆくだろう
交易圏が拡大し
固有の信仰が意味をなさなくなり
共同体がその基盤を失い
デフレーションが貨幣経済を動揺させても
若いふたこぶらくだの群れは日々の進行を自明のものとして
肉体にも精神にも負荷を与えることなく
どこまでもつづく隊列の夢を見ているだけ
月を読まず、星を知らず、言葉もなく
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この教室が森になればいい
あまりに濃密な葉叢が昼を暗くし
気温を低くし脳と筋肉を発熱させる
獣や虫たちの生気に空気がビリビリと震える
この教室は沙漠になるべきだ
遠い視界が紫の山々をゆらし
サボテンのおばけ群衆が国境にむかって歩く
雨雲はかれらにとってくろぐろとした希望
この教室には渓谷であってほしい
河川の水量の変化にしたがって
流れの経路は歴史的に変化し
植生は差異の河原で栄枯盛衰をくりかえす
この教室は海岸に変わってくれ
打ち寄せる波にヒトは反復の意味を学ぶ
水平線を見ながら航海術の必要を自覚する明日
船出の背後にあるのはこのterra firmaへの絶望