季節の声

実家のすぐ傍に野原があった。
自然に育てられた様々な種類の草花、
真ん中に立つ大きな松の木。
周りを囲む雑木林。
小生の頃、近所に住んでいる友達大勢で
走り回ったり、秘密基地をつくったりして、
チビなりに大忙しだった。

春の暖かい光の下で、シロツメクサやホトケノザを摘み、
蝶を追いかけ、梅雨時にはバッタが大量発生。
傘を差しながら素手で捕まえた。
夏になると雑草はますます生い茂り、深緑の上に蝉が飛び交う。
タモを旗のように掲げて走った。
秋にはススキが目立ち、枯れ葉も雨のように降ってきて、
それを集めて皆で焚き火をした。
雪が積もると、ためらいもなく寝転んだ。そして風邪をひいた。

現在、野原があった場所には遊歩道ができ、
防火貯水槽が埋められ、健康器具が並んで、
悪ガキ達だけの野原ではなくなってしまったのだが、
あの場所で出会った動物や植物、季節ごとに変わる匂いは、
今でもはっきりと覚えている。

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