荘司和子訳

マイタイおじさんは
選挙に行きたい
お望みの人 お気に入りを
投票したいのさ
その人は何番だい?
あの人は何番だい?
そいつはどのくらいいいのかね?
どこがどう悪いのかね?

マイタイおじさんは
まあるい黒ぶちめがねかけて
でも民主主義が大のお気に入り
国会は議員先生でいっぱいさ
袖摺りあうくらいの混雑だ
議員さん 議員さん
先生のファンたちはあこがれる
議員さん お偉いさん
議員さんを糞で汚すんじゃないぞ
議員さん 議員さん
10万バーツ100万バーツの誘惑
かぶりついてしまったらどうなるかって?
かぶりついてしまったらどうなるかって?
眼がつぶれるか口がきけなくなるか
アホにでもおなりなさい

マイタイおじさんの
家はなんでも屋
おかみさんの名はマイガーム
息子の名はマイディー
何十年も商品売ってきた
何十年も商品売ってきた
それでも心も身体も売ったことなんてないぞ
だから金持ちにはなれないさ
バナナに卵 ガピにプララー
ナンプラーと唐辛子、売ってきたよ
デパートなんかは
近くもないし遠くもないのさ


水牛のみなさま、ごぶさたいたしました。すっかりさぼっていたスラチャイの作品集作りに復帰しました。今月の歌は90年代のアルバムに入っている、東北のおじさんと選挙の歌。7月はじめにタイでは総選挙があり、facebookのスラチャイのファンたちはこの「マイタイおじさん」をとりあげていました。

「マイタイおじさん」というタイトルのアルバムをみつけて久しぶりに聞いてみました。田舎の人たちにとって、選挙のあり方は今もこの歌のころと変わりがないでしょう。金銭や饗応(ささやかな)で票のとりまとめが行われることが多いということです。

カラワンは2年前黄シャツの集会で歌っていたそうです。今回の選挙で多数を制したのは赤シャツの支持するタクシン元首相の政党でした。タクシン派は権力階層ではなくて、地方の農民や都市の庶民が支持層ということですが、「マイタイおじさん」の支持者? スラチャイはそうではないようです。ばらまきで人気のタクシンが農民の本当の味方ではないと、いうことでしょう。

この歌、愚直でくそまじめな庶民、自分の父や母へのスラチャイのまなざしがつたわってきます。

荘司和子