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猫の尾がゆれ疾風を起こせば小石が飛んでゆく
犬の耳が寝るとき暗い嵐の雲が湧く
気象よ、気象よ
ぼくらはこうして動物たちのふるまいに教えられるんだ
馬の吐息が荒くなると寒冷前線がやってくる
むくどりが死ぬほど騒いで満月を出迎える
ねずみの活動が活発化するのは氷河期への準備
海月の全面的な浮上は洪水の確実な予兆だ
そしてザリガニの捕食行動は千年紀の祝福
動物たちのanimaが事物のanimaと重なり
世界を機械状のanimationとして上映する
ぼくらは目を丸くしてその展開と図柄に見とれる
動物主義! かれらなくしてヒトは
何も知ることができない
「今日雹が降るよ」と先生に聞かされた小学生の妹は
一面の水田に豹が降るサバンナを想像していた
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シトロネルの強い香りがして
何かを思い出すことが強いられる
でもその何かを言い当てることができない
追憶という野原にむかう小径を知らない
Zoeという名のシェパードを飼っていた
どこに行くにもついてきた、ぼくを守るように
あひると野鴨が入り混じる
製糖工場の湖には人造の堤があって
一方は湖、一方は海と
水を分割している
ぼくとZoeはよくその堤にゆき
打ち寄せる波と静止した水面を同時に眺めたものだ
風はいつも強く光は大きな幅をもって変化し
空はいつも広く光はいつも生命を超えていた
寝そべる犬の腹に頭を載せて
ぼくは空を見上げ回想を拒絶した