散歩の途中、薄暗い道に僅かな光が差しているのを見て、
なぜか真っ先に実家の台所が頭に浮かんだ。
あの台所は、窓があるくせに暗い印象が強い。
ただ春になると、朝の淡い光が
お邪魔しますよ、と言うような感じで
台所にひっそり入り込んできていて、
ほんのり暖かい雰囲気になる。
子供の頃、朝早く起きて
台所の床に出来ている小さな日溜まりに
光の縞模様ができているのを見つけると、
それをぼうっと眺めたり、足で踏んでみたり。光と遊んだのを覚えている。
光が溜まっている場所になんとなく惹かれるのも、
その遊びの思い出があるからかもしれない。
自分がいつか住む家の台所には
もっと明るい光を招こう、とふわふわ考えながら
また今日も窓が少ない自宅へと戻る。