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歌手としてもっとも有力なのは樹齢二世紀のカクタスだった
月が南中するたびに青い歯を見せるのにセニョーラは気づく
レゴのブロックを32個組み合わせて霊のための祭壇を作った
スーツのだぶつきがギャングのようで神父が焦げた眉をひそめる
集団を群れから解放するために国境と雨雲が必要だった
蟻たちは神学を欲しがって蜜蜂に交換条件を提示する
欲望とミルクを比べると倒れるのはいつも日時計だった
落雷を飼い馴らそうとクローバーで餌付けを試みる
ふたたび経済理論を学ぶために羊飼いはひそかに出国した
丘がふらふらと夜市をさまようので景気が破滅する
岩陰に魚を拾いにゆくとどれも焦げたいるかばかりだった
ときどき海が見えるたび塩の節約が議題になる
本のページをマッチで燃やすと文字は蛍光色で発光した
茹で卵は地球ゴマの回転で自由を表現する
火山が「私はきみよりも永続的だ」とヒマワリにむかって自慢した
ひまわりはたちまち百万本に増えて火山の麓を包囲する
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貧血を優先して庭園がイギリス式迷路に作り替えられた
女王は揮発性の飛行機を使って月と金星の往復を試みる
燕の飛跡が占いに用いられる古代的な慣習があった
整列した樹木は遊びとして倒立と屈伸をくりかえす
ちくちくと皮膚を刺すのはアルパカの悪戯だった
未舗装の道が泥のように流れはじめるのをみんなで待っている
爆弾という言葉が低気圧に初めて応用された
競走馬が競馬の是非を美学的に議論し始める
「話を聞かれているときだけ声変わりするみたい」と小鳥がささやいた
村がアイスクリームのように溶けて地面がべたべたする
「雲の白が純白ならおれの心は何だ」と白熊が嘆いた
干潟の蟹の穴から永続的なシャボン玉が生まれている
白い崖よりも希望に近いのは柱状列石しかなかった
平野の空の一面がアスペラートゥスという名の雲に覆われる
Hail Maryよりも早くhailが急襲した
レタスとA菜のどちらも祖母は加熱してから食べる
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くりかえし訪れる夢は万葉仮名で書かれていた
反復が赤道のように肌に皺を刻む
Sundanceとは太陽そのものの歩行に過ぎなかった
もぐらの人道的配慮は地下通路を封鎖させる
ガラス玉を丁寧に磨くと闘牛士のための義眼となった
回遊という性格により魚群が象を前世に追いやる
噴水はその姿よりもむしろ音響装置として機能した
年代の観測に年輪と砂時計が併用される
出漁の直前に二枚の板で小舟が設計された
トウモロコシの皮を画布として100号の作品が描かれる
干したトビウオのように身を殺がれつつやはり生きていた
城から北から城から南へと遠隔的に存在する
指先から蛇が出てゆき背骨にカクタスのような棘が生えた
洞窟の壁画に直接かつての野牛を埋めこむ夜がある
Reality TVをはめこむことによって現実は流れ星に近づいた
すべての海のエッジで存在とムネモシュネーがアネモネのように躍る
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祖母の粗末な家は実際に鯨塚の真横にあった
砂まじりの米がランチボックスを光でみたす
瞼で炎が燃え猫の目が金星のように笑った
色彩とかたちにはどうしても等価交換が想像できない
「鳥」という鳥の不在がカモノハシの独立宣言だった
蝙蝠傘をひらいて地面の上昇に対抗する
風が蜘蛛を大量に飛ばすので合金が沸点に達した
トルティーヤをドレスのように着て彼女はくるぶしを回す
大広間の暗さに比べて玄関は氷山のように明るかった
傷ついた燕の傷を犬がやさしく舐めている
Porcupineは知っていてもcoatiは見たことがなかった
洞窟絵画に描かれるスラップスティックのように神妙に生きている
祖母は身長135センチで105歳まで生きた
フロリダを四十日かけて縦断する計画を立てている
ぼくの犬はみずから毛布にくるまる技を覚えた
人さし指と中指をそろえて架空の礫を飛ばせ
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ブラスバンドが踊りながら海溝へと落ちていった
煉瓦とパスタの粒状性はそれぞれに離合集散をくりかえす
白い石膏の砂漠が満月にみたされた海になった
夜の中でブーゲンヴィリアが絵はがきのように揺れている
知識の代価としてきつねが木の葉をさしだした
とれなくなった指環が祈祷と羨望の対象になる
スズメバチが準備した効果音がロケットを発射させた
サッカーのゴールは写生よりも遠い風景に届く
魚たちの行列が巡礼への参加を希望した
波間にときどき屑鉄が浮かんでいる
窓に鐘楼を描くとやかましく鳴り出した
美しさと鏡とは別の周期表に属している
庭で無くしたサンダルにはノスタルジアと書かれていた
鹿よりも猪よりも四肢の進化を期待する
目の高さで凧をあげるのは伝統的なフラの動作だった
だが伝統とマグマは海岸のテーブル上で噴火をくりかえす
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線路の音がハンナ・モンタナに世界市民主義を自覚させた
個々の生の破壊により生命の連続的広大さにめざめる
きみの心から人口流出がつづき過疎化が進行した
おれはおれとしてひとつのbutteを形成する
古い本を書き写すことをやっとボノボが覚えてくれた
民族博物館は多数の干し首を無垢の軍勢として所蔵する
太陽をめぐる一神教はそれ以外のエネルギーを断固として拒絶した
ぼくの犬が「うるさいよ」と耳をふさいで寝ている
雲の底から雲が湧き出したちまち夜のように暗くなった
ハープシコードが勝手に鳴ってアフリカの旋律を叩き出す
極東シベリアの町でも小学生の喫煙が習慣化した
マグネシウムの粉をまぶしてかれらを驚かしてやりたい
神はかたちがないから神であり物理的にはまるで無力だった
ひとひらの雪の中に海があるとしてすべての雪はいま潜在している
きぬいとがきれることなくどこまでもつづいていた
朗読が生物学的に禁じられてボノボが激しく怒っている