金曜日の紫陽花

六月がもうすぐ終わる
ほんのり青い曇天を
つば広帽のように深くかぶって
ここで いま
夏休みを待ちこがれる妹のように
花を咲かせる
青いあじさい
赤いあじさい
この世のものとは思えない
夕映えのなか

全車線に広がる
新しいものに水がみちて 重さをまして
殺処分された生き物たちが
還っていく 深く 地に染みて
ふわふわと
はがゆいもの吹く 微風のなかで
赤子を抱いた若い父は
今日も生きていく
そう 生きていくのよ
去年のいまごろ
まだこの世にいなかったきみだって
静かに 確かに 息をしている

埃っぽいアスファルトの道に
広がり 連なり
見えない地球の裏に
目を凝らして
賢しらなことばをほどき 
愚直なことばを結ぶ
営みそのものが試されていく
あすは すいみつ にゅうどうぐも