つんつんと萩の小葉が
8月の風に指をひろげて
黄色い粒が風に飛んで
するどく こまかく 切れる刃物は
ひとつの世界の
あざやかな開口部を見せはするが
切断された欠片が行きどころなく
散らばる地表に
無常の熊手がのびる季節が近づく
ほら そこに見出されるのは
群島フェミの忘れもの
きみはなにを創り
なにを育て
なにを枯らしたか
19世紀小説がなつかしいと地球儀のおもて撫でる
(特権+無意識+マスキュリン+永遠の僕)的作家の時代は去り
ここ東アジアで(も)
全=世界へ向かって じわりじわり
アンドロギュノスのしなやかな蔓がのびる
のびる のばすために紡がれることばたち
産む
育む
見る
守る
関係はあとからやってくる
偶然の呪縛 踏みしめて
全=世界つらぬく命の糸の
きみはなにを創り
なにを育て
なにを枯らしたか
糸たちが通り抜けていった
奇妙な殻のなかで
ひたひたと考えている