暮夜へ

気付けば夕陽は向こう岸を柔らかく包んでいた

さて、どうするか
足元にちらばった惑星と星粒を
谷底へ落ちてゆく針雨
青燈光る空き部屋、砂鉢
壁の奥で息を潜める文字盤
全て千切って 千切って
箪笥の奥へ押し込んだ
引き出しから溢れる透明なこえ
喧しくわたしを呼ぶ粒子
思い出の宴はもう終わったのよ

濁ったフラスコの中
汽笛を合図に散らばった欠片達が
蒸気となって空へ上っていったとき
目に映る情景はずいぶんと澄んでいた
箪笥にはカギをかけて
鎧に身を包んだ暮夜へ放り込んでやった
カギはいつか偶然
おなじペーソスを感じたたびびとに渡してみようかしら

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