荘司和子 訳

高い山から小川が降る
蛇行しながら木々の縁を
通って行く
餌を求めて森の獣たちは
大も小も足跡を残す
雨よ、おまえは空のかなたから降ってきて
この土を湿らす
高い山、見渡す限り緑また緑
風がはためいてやってくる
その視界は夢を告げる
陽の光は絆の暖かさの湯気
命は永久につながっていく
それがこの地球

山の森から大都会へとずっと延びていく
力のみなぎる流れとなって
何百万というこころと関わっていく
ビルと道路には人があふれている
毎秒人が生まれ人が死ぬ
そしてたくさんの物語が生まれる
その道には人びとの吐息がある
たくさんの感情がある
ゆううつ、空虚、鎮痛
天国はいつ果てるともなく変貌しつづける
大地の値打ちは 山林を創る
わたしたちを創る 街を創る
高い山から小川が降る
蛇行しながら木々の縁を
通って街へと流れていく