グロッソラリー ―ない ので ある―(10)

 1月1日:「数か月に一度そうやって騒ぎを起こしてた。せっかくの断酒生活もぱーになって、また朝からウオッカ。アル中って治らない人は一生治らないらしいね。依存症もそう。ごくたまに飲む程度といっても、前後不覚になるまで飲むのは、依存症の一種でアルコール多飲症っていったっけな、立派な精神疾患の一つなんだってさ――」。

゚。(p>∧<q)。゚゚

 インターネットで仕事を探し応募する。数日してEメールで不採用通知が来る。これが日課となっている。どの企業も別段入りたかったわけではない。給料さえくれればそれでよい。毎日どこの誰かわからない者から次々と自己否定されながら、惰性で生きている。既に生自体が日課。朝目覚めてしまった時の悔い、怒り、無念ったらない。

ヾ(@⌒ー⌒@)ノおはよ〜♪

 誰憚らずちんちんかもかも、ええ畜生め。こちとらわしであってわしでない。鼻歌が教科書に載ってしまったからって、能もないしなんの罪もない。生まれながらにしてどうにもならないことがある。名前も顔も確かでないが、必ず存在する誰かのためにいる。わしはどこから来たのか。わしは何者なのか。わしはどこへ行くのか。

(。?)三(?。?)三( ?。)

 朝晩問わず、着想やイメージが逃げないように、カーテンを引き部屋を閉めたままにしている。当然暗いので灯りをつける。ところがこちらの意図とは反対に、目を向ければ、書棚の本が物憂げで、自分の形をした上着が不満げで、目を向けていない辺りに、自殺者たちのかなりまとまった面影が偏在し、それぞれ聞き取れぬ伝言を送ってくる。

( *´ノд`)コショショ

 1月1日:「精神疾患も大変だよ。あとで聞いた話だけど、そいつも複数の精神疾患を持っていたんだって。単なる酒好きがアル中になったんじゃなくて、まあ症状の一つが出たって感じなんじゃないかな。病名はなんていったっけな。鬱病は確実にあったな。それと不安神経症か。なにしろ鬱と神経症でかなり苦しんでるって言ってたな――」。

_| ̄|○ il||li. 鬱・・・

 世の中には自分と似た人間が三人いるという。そのうちの一人にでも偶然出くわそうものなら、強く結託して悪事をたくらむことだろう。いや、臆病な自分とて、軽く目を合わせるだけにとどまるだろう。いや、人間が苦手な自分とて、目を合わせることすらかなわず、結局は誰とも会わなかったことと同じ状況になりおおせるだろう。

(´´・Д・`)ノ・゜・☆★ぃょぅ★☆

 生まれ変わったら? なぜ生まれ変わらなきゃならんのだ。

ヾ(≧(エ)≦)〃ヤダヤダヤダヤダヤダ

 骨董品を収集している知人に、ご自慢のコレクションからいくつか持ってきてもらった。全て並んだところで、片端から壁に投げつけあるいは蹴り上げて、ことごとく木端微塵にしてやった。まだ形のあるものも全力で踏んづけて価値の「か」の字もないゴミにした。この手の未然に終わる衝動が常にある。衝動を防ぐのも、また衝動である。

ヽ(*`Д´*)ノゴルァァア!!

 1月1日:「不安神経症のパニック障害って壮絶らしいな。急に心臓の鼓動が速くなって動悸・息切れ、めまい、発汗、そして何よりも狂うんじゃないか死ぬんじゃないかっていう恐怖心。あいつが症状に合った薬が見つかるまで、ろくに歩くことすらできなかったって。しんどい生活で二十代の大半を費やしちゃったもんな。気の毒に――」。

(´□`。)°゜。

 不眠症に関してはあきらめた。寝酒も効果がない。死ぬまで眠剤に頼ることにしているのだが、飲むまでに駄々っ子のような葛藤がある。早く眠りたい。だけど忌まわしい夢を見るのは避けたい。すぐに眠れるとする。でも避けたい朝が来るのは忌まわしい。そのまま起きていてはどうか。忌まわしくて避けがたいのはもうこりごり。

(´・ωゞ)おやすみなしゃい

 子供の頃、三歳くらいじゃな、夜中に目が覚めると、部屋中の物が秒針の音に合わせて前後へ動いていた。ある深夜にまた同じ現象が起きていたので母親を起こし見てもらったら、こっぴどくしかられたもんじゃ。あれが何だったのかさっぱりわからん。今じゃ銀色の粒々や薄黒いシミや金色に光る斑点が、わしの視界で遊んでおる。

(((; ゚Д゚)))ガクガクブルブル

 何につけても他人のまねはしない。それでこそひとかどの人間である。金満家だろうが素寒貧だろうが関係ない。生き方、考え方、人生を動かす諸点において独自の哲学を持ち、これと決めた言動をすみやかに履行する。平均化された現代社会では稀有で重要視すべき存在である。しかしながら独創というのは、人に知られていない剽窃ではある。

(`Д´)y-~~ちっ

 コンドラチェフの波に乗りながら、とんでもはっぷん歩いて十分。オルガヌムとオルガスムス。このどうでもいいような気持ちよ。そぼ降る雨の中で生起する自己抹殺願望よ。花は折りたし梢は高し。あっという間にローレンツ収縮。自由に浮動する波乗りジジイとしては、ジュグラーの波に乗ってドリフト理論を遺憾に思うことにするさ。

スイミング。;:。へ( -_-)_