静かに佇む

7月15日 午後8時の国会議事堂前は、人で溢れかえっていた
電車を降りて階段を上っていくと、地下鉄の入り口までシュプレヒコールと太鼓の音が聞こえる
無言で歩いていく人、声を上げながら歩いていく人が、激しい怒りの渦に合流する
熱気で汗が流れる 
時折吹く風は冷たく感じた
目の前にある真っ暗で巨大な建物に、背後から 真横から 拡声器から 叫びが飛ぶ
胃の中が熱い

もうひとつの意識が重なり、にじみ出てくる映像
家の前に広がる森、香の匂いが漂う仏壇がある畳部屋、絵を描く小部屋
庭の南天の木、百日紅、ツバキの葉
激しい怒りのなかに、静かに佇む故郷が在る

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