「70'sバイブレーション!YOKOHAMA」というイベントが8月1日(土)から9月13日(日)まで、横浜の赤レンガ倉庫で開催されている。「70年代のニッポンの音楽とポップカルチャーが甦る」というタイトルで、ロックコンサートのポスターやチケット、レコードジャケットやミュージシャンの写真が展示されている。はっぴいえんどの「風街ろまん」が発表された1971年からYMOがワールドツアーを成功させる1980年まで。音楽を軸に振り返る70年代だ。企画に合わせて特別編集された「SWITCH」に今回の展示の一部が再録されている。ヒッピームーブメント、サイケデリックブーム、野外ロックフェスティバル、自分で歌をつくり歌う人たち、ライブハウス...。今も続く、あるスピリットの源流を訪ねる旅だ。
同誌に掲載されているインタビューで、佐野元春は「60年代は日本の少年期であり、それに続く70年代はまだ人々がイノセントな気持ちを抱えていて、青年に成長していく時期だったと言えるかもしれない。」と語っている。若者の時代、私も70年代に対してそんなイメージを抱く。戦争が終わって、アメリカやヨーロッパの文化がたくさん入ってきて、その影響を受けながら成長した子どもたちが青年になって自分でも、物真似でない、オリジナルの作品をつくり始めた時代、そんな印象だ。私自身、物心ついてから多感な10代を過ごした10年間という事もあり、少し贔屓目で時代を見ているのかもしれないが。
展示期間中のイベントに片岡義男さんが登場するので、夏休みの入口の日曜日に、横浜まで出かけた。
「アナログ盤を通して三人の証言者が70年代のカルチャーをひも解いていく」というコンセプトで第1回はピーター・バラカン&濱口祐自による「音楽の収穫時期」、第2回は佐野元春&室矢憲治による「新しい夜明け」そして第3回に片岡義男&左藤秀明&南佳孝による「ラジオのように」が開催された。港を行く船が大きな窓越しに見える赤レンガ倉庫1号館のホールで、片岡さんが選んだレコードを聴きながらゲストとのトークを聴いた。
デジタル再生での1曲目はフィービー・スノウの「サンフランシスコ・ベイブルース」。リリースは1965年ですよね、とつっこまれながらも、70年代のうちだと返していた片岡さん。デジタル再生だと針とレコード盤が接触する事が無いから、音の出発点がわからずに突然音が空中に漂い始める、その感じが良いと言っていた。会場に流れる、フィービー・スノウの洗練された深いブルース。片岡さんは、「この1曲とこれが流れていた当時の日本とのものすごい落差」とぽつんと言った。録音していないので確かめようがないけれど、多分そう言ったのだ。