8月の夜

あれだけ大きく鳴いていた蝉の声もだんだんちいさくなり
窓辺から鈴虫の声が聞こえる
ときどきひんやりとした風が吹き抜ける
夏から秋へと少しずつ変わっていくこのとき
本を読んだり絵を描いたりして過ごすのは たいへん心地良い
静かに過ごす夜もいいと思えるのは 最近星空を見に行くためによく
外に出ているからだろうか
去年の夏は部屋にこもりすぎていたので すっかり飽きていたけれど
外に出れば中にこもる良さもわかる気がする

8月は流星群を見に行った 生まれてはじめてのこと
夜半 月が山のうしろに沈んでいくと あたりが暗闇に包まれる 星が一段と輝きはじめる
一瞬の閃光 そのうち数えるのも忘れてしまうぐらい あちこちから星が流れる

数日後にリュックの中をあさっていたら 走り書きのメモがでてきた
 8月12日
 まわる星座 手と頬のつめたさ 夜露に濡れる草木 望遠鏡 カメラ
 長く尾をひいた流星  星をさがしながら飲んだ日本酒 蚊 虻
 気温 空気の感触 月が隠れる 夜霧のかたまり

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