金沢

笠井瑞丈

今年から始めた金沢での活動
二月は公演とワークショップ
四月は古民家での投げ銭ライブ

二月
金沢芸術村
ロープを引っ張り
バトンをおろし
一つ一つ照明を吊り
そしてパッチングをして
チャンネルと灯台の回線を合わせる
そしてスピーカを下し音響もを仕込む

普段は音響さんと照明さんに頼むけど
照明さん音響さん頼める予算もないので
照明音響の仕込みを全て自分達でやる
それから椅子を一つ一つ並べて完成だ

そこから一番大事な踊りをする
なおかさんとのソロ二本立て

僕の踊ってる時はなおかさんが照明と音響
なおかさんが踊ってる時は僕が照明と音響

踊って照明と音響やって
照明と音響やって踊って

そして無事公演も終わった
本当にクタクタの1日だった

金沢はなおかさんの地元
そんなことからここ数年
年に数回は金沢に行く
もう何年前かは忘れたが
初めて金沢に行った時を思い出す

なおかさんのお姉さんが
駅まで迎えにきてくれた
車の窓から眺めた金沢の夜景
年末のとても寒い時期だった
郊外のショッピングモール
雪解けのために道路から水が出てる
初めて見る景色に興奮したこと
ちょっと外国に来た気分だった

前は青春18切符で鈍行列車を乗り継ぎ
14時間くらいかけて金沢に行ってた
それが今は車に変わり車中泊の旅に

あの頃と景色は少しずつ変わり
自分も当たり前だけど年もとり
いろいろなものが変わってしまった

踊る事
続けていく事

自分の中に何か一つ小さなヒビが
カンカンとカラダの中から警報が
そんな事を少し感じる今日この頃

踊る事
続けていく事

そんな金沢も今は「帰る」という気分に変わった
自分にとって「故郷」みたいなものにも変わった