二つの作品

笠井瑞丈

二つの新しい作品に取り組む
ひとつは笠井叡振付『今ショパンを踊る』
ひとつはナイトセッション『うるむ』

今ショパンを踊るは題名通り
音楽は全曲を使ってショパンで踊る

うるむの方は
音楽は全曲バッハを使って踊る

二つとも偉大な二人の作曲家の曲だ

音楽があって踊りがある
踊りがあって音楽がある

そんなことをたまに考える

今ショパンを踊るのリハ

いつも叡さんは稽古場に必ず
サングラスかけて入ってくる
外からやってくるのではなく
隣の母屋からやってくるのに
そして入ってくるなり必ず
目がよく見えないからと言い
ダンサーの顔を深く覗きこむ
でもそれは明らかに近すぎる

この一連の儀式の後
挨拶と繋がる

稽古場にひとつ
違う空気が流れる

ちょっと不自然とは思うが
この作法はいつも変わらない

僕が思うに
彼にとって

リハと言うパフォーマンスなのだ
パフォーマンスと言うリハなのだ

そしてそれが形となり作品となる
リハそのものが作品の一部となる

そこが笠井叡のすごいところだ

そんな事をたまに考える

うるむのリハ

ナイトセッションとは
僕がお願いしたダンサーと
一時間即興セッションを行う企画

この企画はセッションハウスで十四回
場所をうつし天使館で今回で十一回目

ダンサーは僕が一方的に
思い浮かんだ人にお願いしてる

思い浮かんだ時に開催するから不定期なのだ

でも不思議と

なぜか思い浮かんだ時には
全てが完結してしまってる

今回も思い浮かんだ時に
バッハと決めていた

リハ初回が一番大事だと考える
初回が噛み合わないとそのあと
修正していいくのが大変なのだ

だから思う
リハには何かしら決まった作法が
必要なんだ

これから作法を考えよう

思考して作品が生まれる
作品があるから思考する

まあどうでもいい事だけど
そんなことをたまに考える