6月

笠井瑞丈

ハギとモギ
うちにきて六か月
初めての巣籠です
二人とももう一ヶ月近く
自分達の寝床から降りて来ません
二人は姉妹なので本当に仲良しです
いつもハギがモギのお腹に顔を入れ
ただ時間が過ぎるのを過ごしている
ハギが窒息してしまうんじゃないかと
いつもちょっと心配しているのですが
本人きっとそこが一番安心なんだろう
暖かいお腹の中に頭を入れていい夢を

二人は何をするにもいつも一緒です
たまに降りてきては一緒に砂浴び
そして二人とも一緒に寝床に戻る
二人はどんな感情を持っているのだろうか
二人の思考に入れるものから入りたいものだ
二人を譲ってもらった時も
二人一緒にという条件付きだった
二人を引き離すのは可哀想だということで
本当にその通りだった
今も二人一緒に暮らせて良かった

今週は金沢でワークショップとパフォーマンス
もちろんハギとモギそしてナギも連れていく
強制的に自分達の寝床から離れるので
東京に戻った時には巣籠も終わるだろう

巣籠は実は相当エネルギーを使うらしい
本当はなるべく早く辞めさて方がいいと言われている
辞めさせる方法を色々ネットで調べたのですが
色々試したけれどもどれも効果がなかったので
自主的に諦めるまで待つスタイルをとっている

自分の命を削って熱を与え
新しい命のため光を与える

なぜか巣篭もり中の顔つきは
不思議と力強い顔つきに変わる
生命的な力を身体から発するのだ
この年に数回しかないこの行為は
本当に神秘的な事だと思う
きっと人間には真似が
出来ない事だ
それもあんな
小さな身体で
と思うと
本当に
頭が




今日久しぶりに寝る前
本を読んでいたら
ナギが枕元に飛んで来た
これは嬉しいことだ
電気を消し一緒に寝る

朝起きたらハギ モギも枕元に
何かしら通い合うものがあるのだろう
それが生命というものだ
今日はいい一日になるだろう