あなたが踊れば世界も変わる

笠井瑞丈

昔の事を思い返す
ドイツから帰国した
小学校四年生のとき

金曜ロードショー放映日
日曜洋画劇場の放映日
テレビの前に椅子を並べて
自分だけの映画館を作った

お客さんはいつも決まって
僕と祖母の笠井君子さん

君子さんから100円をもらい
自動販売機でジュースを買う
部屋を暗くして二人で見た

自分だけの空間
自分だけの時間

思い返せばいつもそれに
付き合ってくれていた

新聞でその日に放映される
映画タイトルをチェックして
自分の好きなものがやる時は
本当にその日を楽しみにしていたものだ

日曜洋画劇場は淀川長治の最後のセリフ

映画って本当にいいもんですね

サヨナラ
サヨナラ
サヨナラ

それを聞くのがすごい好きだった

その後ビデオデッキが出てきて
ビデオレンタル屋というものができ
より見たい映画が見れるようになった

映画館で見るのを見逃してしまった映画
半年くらい経つとレンタル屋さんに並ぶ
話題で人気だった作品は
常に全て貸出中の札が付き
自転車を漕いで数カ所の
レンタル屋さんをハシゴして周る
たまたま借りることができた時
その喜びはたまらなかった
ワクワクしながらビデオを
袋に入れ家の帰ったものだ

今はHuluやネットフリックス等で見たい
映画はいつでも手軽に見れる時代になった

場所を選ばず
電車の中
布団の中
車の中
公園
いつでもどこでも見れる時代だ

今は全てのもがものすごいスピードで変化していき
新しいものが生まれたと思ったらまた違うものが生まれ
映画なんかもあまり心に残るものが少なくなっている

消費と生産の繰り返し

あの時代は良かったと言う言い方はしたくない
今は今の時代でいいものがたくさんある

明るい未来を作るのにはどうすればいいのか
そんな事をボヤッと考えてみる

先週は友達の舞台を見にいってきた
とても元気がもらえるいい作品だった
タイトルが「あなたが踊れば世界も踊る」
本当にとてもいいタイトルだと思った
ただ僕はチラシをもらった時
なぜか勘違いしていてずっと
「あなたが踊れば世界も変わる」
思っていた

きっと

誰かが踊れば
世界も踊る
世界も
変わ


そんな
世界