ジジイの一人旅

さとうまき

暑い時に中東に行くのはよした方がいい。ともかく暑いとしんどいし、ポケットのついた上着を着るのも暑苦しくて、結果財布を落としてしまう。去年はイスタンブールで酷い目にあった。

ジジイになると目も見えなくなってるので本当に最近はものをおき忘れる。それだけではない。地名とかも忘れてしまって、行きたい場所もスラスラ言えなくなってしまう。もうそろそろ一人旅も最後になるかもしれぬ。今のうちに行っておかなければならない国は?と言われたら、新しい国を冒険するか、懐かしい思い出に浸る旅に出るかだが、僕はもう新しいことは面倒であるから後者を選ぶことにした。そこで、23年前に追放されたイスラエルに行くことにしたのだ。

ヨルダンまでのチケットを買い陸路でイスラエルに入国。万が一入国拒否されても、シリアかイラクへ行けばいい。気持ちの整理が必要だったので、ヨルダンのホテルで一泊することにした。ダウンタウンの薄汚い安ホテルを最近はよく使うようになった。かつて僕が局長をしていた支援団体の理事会で「あなたが安い薄汚いホテルに泊まるので、職員が迷惑しているそうだ。かわいそうに、局長以上のホテルには泊まれないから友達の家に泊めてもらっているというではないか」と理事会で糾弾されたことがあった。

僕としたら、節約すればその分支援に回せるというポリシーなのに、わかってもらえなかった。その時よりもさらに汚いホテルに最近は泊まっているが、このバックパッカーのような旅が結構楽しいい。特にアンマンのダウンタウンはアラビアのローレンスが活躍した当時の歴史が刻まれている。お土産屋や市場が混雑していてぶらぶら歩くと楽しい。しかし薄汚い。

今回ラマダン中に到着したのでレストランが閉まっている。うとうとしているうちに日は沈み、気がつくと歩道に机が並べられて満席。うろうろしているとあちこちから声がかかり結局つまみ食いだけで満たされてしまった。これがまたうまいのです。みんな幸せそうです。ガザで虐殺がおこなわれているなんて信じ難い夜であった。