115ミドリバ(新芽)――守(まぶ)ら

藤井貞和

ビッグ/コミック/スピリッツを、ふじいさん、コンビニに立ち寄って、
なぜか買いました。  それから雁屋さんにファンレターを書こうとして、
ツィッターの処理を間違え、ははは、刈谷市立図書館に送っちまった。
目取真さんの『まぶいぐみ(魂込め)』をこの二日、読まねばならん。 で、
ととと、「まぶい(魂)」は守り、昔のこと、私も首里城の坂でマブイがヌギュン
したことを思い出しました。 守り神を落とした私は、しずかに祈ります。
ふと、『平和通りと名付けられた街を歩いて』の、カジュがウタおばあを連れて、
山原(やんばる)へ旅立つところを思い出しました。 なぜ、やんばるを目指して、
二人はバスに乗ったのだろう。 『まぶいぐみ(魂込め)』のかみんちゅ(神女)も
ウタです。 幸太郎をグソー(後生)に取られたウタは、幸太郎の体内にはいった
オカヤドカリ(アンマーと言います)と斗います。  私はアンマーをビッグ/
コミック/スピリッツにかさねて読んでしまって、きっと内部被曝のことだと
思えてなりません。 まだまだ祈らねばならないことがたくさんあるというのに、
目取真さんのさいごは「しかし、祈りはどこにも届かなかった」とあります。
私の落としたまぶいは、帰京する前夜、坂へ来ますと、新芽のみどりに隠れて、
光る虫、そうなんです、螢の幼虫でした。 それを見ているうちに、まぶいが
もどされたと思います。 沖縄の螢は幼虫のまま地面を這い続けるのでしょうか。

(芥川賞の『水滴』〈一九九七〉についても言いたいことがいくつかあるけれど、次回に。)