アジアのごはん(81)紅玉りんごと秋花粉

森下ヒバリ

九月の後半にタイから日本に戻って来たのだが、あっというまに激しい秋花粉の花粉症を発症して苦しんだ。しばらくして、落ち着いていたのだが、またもや10月も終わりだというのに、激しく鼻水、頭痛、のどの痛み、咳き込みが始まってしまった。おとといから咳が痰に絡み、だんだん激しくなって、昼間はしんどくて寝込んでいる。夕方になると、花粉が飛ばなくなるようで、復活。

それは風邪だろうと思う方もいるだろうが、これが秋花粉の症状である。何人もの人から風邪が治らない、という話を聞いて症状を聞くと、たいがい秋の花粉症である。風邪の症状との大きな違いは、熱がほとんど出ないこと、そして食欲がふつうにあることだ。微熱が出ることもあるし、ぼおっとすることもあるが、けっして高熱は出ない。鼻水も風邪の場合は粘着性があるが、花粉症は水のようにさらさらだ。

秋花粉はブタクサ、ヨモギ、カナムグラ、セイタカアワダチソウ、そしてイネ科の植物などで起こる。だいたいスギやヒノキの春花粉症と同じ症状が出るが、違う点が、咳、喉の痛み、人によっては痰である。ヒバリも秋花粉でもここまで激しく咳と痰がでる症状は今まで記憶にない。なぜこんな症状が出るのか調べてみると、どうやら花粉の種類がかなり違うためらしい。諸説あるが、ヨモギなどの花粉は気道に入りやすいので咳が出る、またイネ科花粉はたくさん種類があるが、食物アレルギーに似た反応を起こすため、ぜんそくのような症状が出ることもあるとか。

たしかに、咳が出て痰が絡むだけでなく、胸が苦しくてぜんそくみたいな症状もある。気道がヒューヒューとまではいかないが、その一歩手前。これがイネ科のしわざなのか・・。関西のイネ科の花粉飛散ピークは5月と8月~10月なのだが、今年はいつまでも暑かったので、たくさん花粉を飛ばしているのだろう。はあ。

気道に入り込んだ花粉を排出するために、咳や痰が出ているのは、まあいいとして、痰は要するに免疫細胞が活躍した後の残骸である。花粉を敵だと思って、ヒバリの免疫力はたくさん使われまくっているということになる。つまり、免疫力が他のところで足りなくなっているかもしれない。こんなときに強力なウイルスが侵入してきたり、がん細胞が大量に発生したりしたら危ないじゃないか。え~、程々にしてくださいよ‥げほげほ。

花粉症がこんなに増えてきた原因の一つとして、花粉が排気ガスやpm2.5、黄砂などと合体すると凶悪化する、ということが考えられる。もちろん微粒子の放射性物質であるホットパーティクルとも結合するからこれは最凶最悪。花粉の時期にpm2.5や黄砂が重なると、ほんとにしんどくて重症化する。いくらスギやヒノキを花粉が飛ばない品種に変えていったところで、環境自体が悪化していれば意味なしかも。秋花粉のほとんどは雑草だし。

春に続いて秋までもがユーウツな季節になるとはほんとうにやりきれない。だが、まあそんな気分をわずかに上げてくれるのが秋の果物、大好きな紅玉りんごである。りんごは好きなのだが、甘酸っぱい紅玉以外はほとんど食べない。他の品種はたいがいべたべたと甘すぎるからだ。蜜が入って~とか、なんでも甘けりゃいいってもんじゃないつーの。

紅玉はお菓子やジャムの需要で、なんとか品種が絶えずに栽培されているが、酸味のあるりんごはほかにはあまりない。ジョナゴールドがやや酸っぱいくらいか。紅玉は出回る期間も短いので、無農薬や減農薬の紅玉を見つけたら必ず買うことにしている。紅玉はそのまま室温においておくと味がすぐぼけてしまうので、すぐにジップロックに入れて冷蔵庫にしまっておかなくてはならない。赤くて可愛いので、ついかごに入れて置いておきたくなるが、がまんがまん。

刻んで、ジャムよりも甘み少な目で、形の残るぐらいに煮たものを作って冷蔵しておけば、豆乳ヨーグルトやパンケーキのトッピングに重宝するし、アップルパイもすぐ作れる。さらに生のりんごを刻んでかんたんにケーキも作れる。焼きりんごもいいです。紅玉がない場合は、レモン汁で酸味を足して作ってください。

★紅玉りんごの米粉ケーキ 15センチの丸型1個分
・紅玉りんご1~2個
・米粉120g (その内、ひよこ豆の粉、ココナツフラワーまたは黄粉などを20~30gにするとコクが出る)
・お好きな砂糖80g
・卵2個
・ココナツオイル50ml(できればバージンオイル)
・ベーキングパウダー小さじ1
・豆乳大さじ2~3、調整用
・くるみ、シナモン、ラム酒、ココナツフレークなどお好みで

りんご1個は皮付きのまま、いちょう切りで刻む。残りのりんごの半分または1個はトッピング用にくし形に切る。ボールに粉と卵、砂糖、ベーキングパウダー、ココナツ油を混ぜ合わせ、豆乳で調整する。固さはホットケーキよりもちょっともったり。イチョウに刻んだりんごを混ぜ、油を塗った型に流しいれる。上にくし切りにしたりんごスライスをきれいに並べて、170℃~180℃で40分オーブンで焼く。ふわっとしたケーキがいい人は卵の卵白を泡立ててまぜるといいかも。粉は小麦粉でも作れるし、パン粉でもおいしくできる。

★ストウブで焼きりんご
STAUB de GOHANという1合炊きの鋳鉄の鍋を入手した。一人の時のごはん炊くのに重宝している。しかも、りんごが1個ちょうど入る大きさなので、焼きりんごにぴったり。これでオーブンなくても作れます。ストウブのない人は、オーブンで。ストウブ鍋もオーブンもない人は、りんごをスライスしてフライパンで焼いても美味しいよ。
・紅玉りんご1個
・ココナツオイルまたはバターを少々
・メープルシロップ、などお好みの砂糖少々
・好みでシナモン、ラム酒、コアントローなど

りんごが半分くらい隠れるぐらいのアルミホイルをストウブ鍋に敷く。敷かなくてもいいけど鍋にりんごと果汁がこびりつくので。まるっと包んでも可。りんごの芯は芯抜き器があれば抜いてもいいが、なければスプーンでちょっと汚れが溜まっていそうな軸のところだけ削るぐらいでもOK。へつったところにココナツオイルと砂糖を少しのせる。
蓋をして弱火で35分ぐらい焼く。何にも足さずに焼いてもおいしいい~。いい匂い! これで、なんとか秋の花粉の季節を乗り切ろう。