今月は伸ちゃんのことを。
伸ちゃん、三宅伸治は「ブルースやソウルに根ざしたロックンロールを歩み続けるヴォーカリスト/ギタリスト」(公式ホームページの紹介文による)。
MOJOCLUB、覆面バンドタイマーズ、忌野清志郎&NICE MIDDLE with NEW BLUEDAY HORNSのバンマスとして活躍し、清志郎氏との共作の楽曲も多い。
伸ちゃんの音楽活動30周年を祝い、彼の楽曲を友人たちがカバーして讃えたアルバム「Song writer」(徳間ジャパンコミュニケーションズ)が2017年12月にリリースされた。ザ・クロマニヨンズ、鮎川誠、友部正人、斉藤和義、山崎まさよし、桜井和寿、竹原ピストル、金子マリ、仲井戸麗市…多彩なメンバーが集まって時代順に30曲を唄っていく。
免停中の清志郎の運転手として過ごしながらつくった曲、清志郎といっしょにつくった曲、清志郎がいなくなってからつくった曲、それぞれが味わい深い。
ラジオで、このアルバムについて伸ちゃんが話すのを聞いた。アルバムのなかから仲井戸麗市によるカバー「何にもなかった日」をリクエストして、チャボから手紙をもらったような気がしたと語っていた。
「最後までかかりますか?」とラジオのパーソナリティーに尋ねる伸ちゃんの声を聞いて、ああいいな、と思った。長く“芸能界”に生きて、こんなに普通にしゃべれるなんて。ラジオは声だけだから、人柄がふと伝わってしまう。以前忌野清志郎の追悼番組で、いちばん身近に居たのにでしゃばらず、彼を本当に大切に思っているからこそ言葉を選んで語る誠実さに心を打たれたのだったけれど、今もその時の印象と変わらずの伸ちゃんだった。
自分でもこの30曲をライブで唄ったという。
アルバム最後の曲は、清志郎との共作の名曲「JUMP」。伸ちゃん率いるNICE MIDDLE with NEW BLUEDAY HORNSの演奏をバックに、アルバムに参加した21人が「JUMP」を代わる代わる唄っていく。
世界のど真ん中で ティンパニーを鳴らして
その前を殺人者が パレードしている
狂気の顔で空は 歌って踊ってる
でも悲しい嘘ばかり 俺には聞こえる
Oh くたばっちまう前に 旅に出よう
Oh もしかしたら 君にもあえるね
JUMP 夜が落ちてくるその前に
JUMP もう一度 高くJUMPするよ
2005年に清志郎が唄ったこの曲が、今、本当に必要とされていることをわかっている21人がリレーして唄っていくのは感動的だ。街に、このバージョンの「JUMP」がたくさん流れてほしい、そう心から思う。