新しい世界

笠井瑞丈

言葉を飲み込み
噛み砕く
そこから
生まれてくる形





眼球

思考

踊る

空を覆うカラス

笑う青年
泣く少女
叫ぶ老人

四人の僧侶
病気の少年
狂った老人

音楽と踊
踊と音楽

遠くから聞こえるバイオリン

二十代前半目黒通う
アスベスト館

初めての舞踏経験

ヤミの先を歩く
時間の上を歩く

稽古場の床
煙草の匂い

まったく理解できない
まだ見ぬ世界がそこに

あれから20年

少しは何かが変わった気がする

少しは何かが変わった気がする

だけ
かも

迷いを捨てて

走って打つかって
粉々になるまで

そこから新しい世界へ