去年に続き今年もセッションハウスダンスプログラム
ダンスブリッジの総合演出をさせて頂きました。
今年は二つの作品を作りました。
一つは自分も出演する四人の男性群舞の作品。
一つはマドモアゼルシネマの七人の女性作品。
タイトルは 『四人の僧侶』『七つの大罪』です。
『四人の僧侶』
この作品は吉岡実の『僧侶』のテキストを使いました。
このテキストを初めて読んだのは去年の笠井叡振付『土方巽原風景』に出演した時です。
その作品でこのテキストの半分を使い作品が作られました。
私が初めてこの詩を聞いた時に何か不思議な物を感じました。
内容は一度読んだだけでは全く最初は掴めなかったのですが。
読めば読むほどガムを噛むようにジワジワと味が滲み出てくるのを感じました。
公演が終わりしばらくした時に『僧侶』この詩で作品を作りたいと思いました。
出演者は小出顕太郎さん 鯨井謙太郎さん 奥山ばらばさん すぐにこの三人が浮かびました。そしてすぐ出演のお願いしました。鯨井さん奥山さんは今まで何度も作品に出てもらっています。小出さんは今回初参加です。バレエダンサーの男性に作品に出てもらうのは初めてとういうこともあり、特に小出さんの出演は自分にとって新しい挑戦になるだろうと思いました。言葉から動きを探り、言葉の骨格を形に変え、そんな作業を繰り返し、振付を考えました。言葉を発声し、言葉を読み、言葉が粘土のように捏ねられ、そこから踊りが生まれてきました。男性だけで作る作品は今回が初めてだったので色々と新しい事が経験できました。
『七つの大罪』
マドモアシネマの七人の女性に振付をした作品です。
『四人の僧侶』は振付をメインに作ったのですが、『七つの大罪』は基本的にイメージから動きを作るところにフォーカスしました。基本的には即興という形式をとりました。
作品の作り方としてまず言葉を彼女達に渡しそこから自由に発想してもらい、それを構成していきました。即興性の強い作品を作るのは私にとっても初めての経験でしたので最初手探りで迷いながら作品作りは進みました。振付作品は一つ一つ積み上げて行く作業に対し、即興作品はクリエーションに時間がかかります。植物みたいに種を蒔いて芽が出てくるのを待つ時間が必要になります。芽は蒔いた翌日には出てきません、我慢強く待つ時間が必ず必要です。時に不安になる時もあります。自分の作り方は間違っているのではないかと自問自答した時もありました。公演の二週間くらい前に芽が出てこない事の焦りから一全てリセットして振付作品に変更しようと思った時がありました。でも結局は変更しませんでした。その時間が今になっては新しく自分を成長させてくれた時間だったと思います。あの時間を乗り超えられたのはとても大きな収穫でした。そして待てば芽出てくるものです。一度出た芽は土の下で溜めていた生命力を放出するかのようにすくすくと育っていきます。そして結果的にはマドモアゼルシネマの七人のダンサーは私の期待以上にパフォーマンスをしてくれました。
新しく何かを産み出すことには必ず痛みが伴うものです。
でもその先にはかならず喜びがあります。
今回二つの作品を作らせて頂き多くの事を学びました。
そして大きな試練でもありました。
この大きな試練を共に過ごしてくれたダンサーには大きな感謝しかありません。
これからもまた新しい試練が待っていると思います。
今回の事を経験にこれからも新しい事に挑戦し作品作りをしていこうと思います。