東に向いた窓のカーテンを通して入ってくる朝の太陽の光を感じたのはいったい何日ぶりのことでしょうか。東京ははっきりと今日から夏です。夏の太陽が出ていれば、薄い麻のシーツは洗濯して干すと、ほんの1時間くらいでパリッと乾きます。爽快です。
「水牛のように」を2020年8月1日号に更新しました。
毎月欠かさずのみなさんも久しぶりのみなさんも、そして、今月は休みます、と連絡をくださったみなさん、いつも水牛の締め切りを覚えてくださっていて、ありがとうございます。原稿の催促はしないとひとり心に決めたことがこんなに成功する(?)とは思っていませんでした。
久しぶりにお知らせを。
●『〈うた〉起源考』藤井貞和 青土社 2020年6月
http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3430
本の背には「『ことば』の起源をめぐる壮大な旅へ」とあります。450ページを超える厚い本ですが、三十章もあるのでひとつひとつの章は案外短くて、おもしろく読んでしまいます。
●サントリーサマーフェスティバル ザ・プロデューサー・シリーズ 一柳 慧がひらく
2020 東京アヴァンギャルド宣言
◎室内楽 XXI-1
8/22(土)18:00開演(17:20開場)ブルーローズ(小ホール)
森 円花:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲「ヤーヌス」(2020)世界初演
カールハインツ・シュトックハウゼン:『クラング―1日の24時間』より 15時間目「オルヴォントン」バリトンと電子音楽のための(2007)日本初演
権代敦彦:『コズミック・セックス』6人の奏者のための(2008)
杉山洋一:五重奏曲「アフリカからの最後のインタビュー」(2013)
バリトン:松平 敬 エレクトロニクス:有馬純寿 フルート:高木綾子 打楽器:神田佳子 ハープ:篠﨑和子 ピアノ:黒田亜樹 ヴァイオリン:山根一仁 チェロ:上野通明 東京現音計画 サントリーホール室内楽アカデミー修了生によるアンサンブル 指揮:杉山洋一
◎オーケストラ スペース XXI-1
8/26(水) 19:00開演(18:20開場)大ホール
高橋悠治:『鳥も使いか』三絃弾き語りを含む合奏(1993)
山根明季子:『アーケード』オーケストラのための(2020)世界初演
山本和智:『ヴァーチャリティの平原』第2部
iii) 浮かびの二重螺旋木柱列2人のマリンビスト、ガムランアンサンブルとオーケストラのための(2018~19)**世界初演
高橋悠治:『オルフィカ』オーケストラのための(1969)
三絃:本條秀慈郎* マリンバ:西岡まり子/篠田浩美** ガムラングループ・ランバンサリ** 読売日本交響楽団 指揮:杉山洋一
8/30(日)15:00開演(14:20開場)大ホール
川島素晴:管弦楽のためのスタディ「illuminance / juvenile」(2014/20)*世界初演
杉山洋一:『自画像』オーケストラのための(2020)世界初演
一柳 慧:交響曲第11番(2020)世界初演
指揮:鈴木優人/川島素晴* 東京フィルハーモニー交響楽団
最後はおなじみエドゥアルド・ガレアーノ『日々の子どもたち』から
8月1日 地にまします我らが母よ
今日、アンデスの村々では、母なる大地パチャママが盛大な祝宴を開く。
彼女の息子たちはこの果てしなく長い日に踊り、また歌う。そして彼らは母なる大地に、ご馳走であるトウモロコシの一片と、歓びに潤いを与える強い酒を一口差し出す。
彼らは最後に、大地を傷つけていること、搾取したり毒を撒いたりしていることに許しを乞う。地震や霜、旱魃や洪水その他の怒りで罰を与えぬように頭を下げてお祈りする。
これはアメリカ大陸で最も古い信仰である。
マヤのトホラバル族はチアパスで、以下のようにわたしたちの母に挨拶を送っている。
あなたはわたしたちに豆を与えてくれる
唐辛子とトルティーヤと一緒にして食べると
とても美味しい
あなたはわたしたちにトウモロコシと美味しいコーヒーを与えてくれる
愛する母よ、
わたしたちのことをお護りください。
けしてあなたたちを売り渡したりしませんから。
母の居場所は天上ではない。地中奥深くに住み、そこでわたしたちを待っている。わたしたちに食べ物を与える大地は、いずれわたしたちを呑み込む大地である。
それではまた! 来月も無事に更新できますように(八巻美恵)