しんしんと

北村周一

ダイヤモンド・
プリンセス号という
大いなる
船のみずぎわ
おもう一月

村々の
春や錆びたる
長どちの
思考回路を
うれうる二月

Dappiの
かげにおびえて
もの言えぬ
報道なんて
さらば三月

税金で
花見している
ろくでなしに
愛想わらいを
振りまく四月

あのナチスと
緊急事態
条項との
熱き交わり
はぐくむ五月

安倍逮捕の
声が天から
降りてくる
ような気がして
仰ぐ六月

油えの具
投げつけてみたり
踏んでみたり
もはやアクション
あるのみ七月

夏五輪
その後の自宅
放置へと
すすむ暗黒史と
しての八月

こわれかけの
ホーム・パン計器
わたされて
一家心中
余儀なし九月

国会は
いまだ開かずや
挿げかえし
おとこの首の
かろき十月

六度目の
なみの始まり
音もなく
検疫ぬけて
くる十一月

カレンダー・
ガール並べて
しんしんと
神のおしえを
説く十二月

*副題は、一ダースの月2021。意に反して社会的傾向がつよく出てしまいました。