メジロ二羽追いつ追われつ路地を抜け飛び込むさきの花ツバキかな
吹き溜まる落葉のかげに黄緑のまろみがひとつメジロのごとし
飛ぶ鳥の痕ありありとガラス扉に残りたりおり羽をひろげて
キジバトのむくろをひとつ葬ればひとこえ鳴いて飛び立つ一羽
今朝もまたメジロ来たりて餌台に糞を残せりコムラサキいろの
山茶花の蜜吸いにくる小鳥らの動きとらえて枝葉はゆるる
さざんかの花もそろそろ終わりねと垣根を白きマスクは行くも
鵜野森の樹々のあわいに蠢くはアオバズクかも 背の闇に聞く
庭の木の小枝のごとも擬態ありてナナフシあわれフンを落としぬ
スズメ二羽繋がりしままに降りきて窓にあたって撥ねて離れず
三つ四つ鳴くたび五つ六つ返すカラスの声も春立ちにけり
ひらりひらり羽毛舞いおち見上げれば電柱のさきカラスは何を啄ばむ
襲われてウズラ飛び出す塀の内 残るひとつはすでにクビなし
木洩れ日のまだら踏みたる足音にしみいる昨夜のあたたかき雨
はじめての秋を想えりサザンカの花咲きそめし古淵の家の
あさぼらけ夢も絵のうちねむりもや苦しいときの「優しい地獄」
睦月とは皆むつみあうひとつきにして楽しみに待つ夕暮れのひと
ゆびに捲れば二月のひかり逆さ不二 カモメ綜合法律事務所