デジタル恨み

仲宗根浩

年々、暑さが苦手になっているのに、いつになったら涼しくなってくれる、と呪ってみるも、それはおのれのやる気のない怠惰な生活を暑さのせいにしているだけだ。仕事終わり、涼しくなり車のエアコンをつけず窓全開で気持ちよく帰宅した翌日は、蒸す。往生際の悪い残暑はやっとのこと月の終わりにおとなしくなり、朝の九時ごろから冷房状態にすることもなくなった。

沖縄防衛局に行く。だいたい二百メートル、基地側のほうに引越すと、沖縄防衛局から封書が来たのが七月ごろだったか。中身はNHK受信料補助手続きの案内。補助の理由は騒音でちゃんとテレビの音が聞こえないから受信料を半額にしますので手続きしてくださいという内容。騒音もあるが、プロペラ機が上を飛ぶとテレビの画面にノイズが出て、ひどい場合は音が切れたりする。でもこれは飛行機だけの問題とも言えず飛行が無いときも出たりする。賃貸なのでアンテナの微妙な向きかもしれないし、ケーブルかもしれない。デジタル放送になってすべてクリアに受信できると思っていたらそうでもない。アナログノイズでは途切れることが無い絵と音がデジタルのノイズだとバッサリと切れる。防衛局に入るためには用意された用紙に目的やらどの部署に行くのか、時間はどれくらいかかるかを書き、用が済んだあとはその部署から確かに用は済みました、という印までいただかなくてはいけない。三十分くらいで手続きは済んだがその半分くらいはこちらの状況に対して質問したことを回答をもらうまで待ち時間だった。

那覇の映画館で「レッキング・クルー」という映画が上映されているのを知る。近年よくある、クレジットされないスタジオ・ミュージシャンのドキュメンタリー。休みの日でも行こうと思ったら輸入盤しかなかったブルーレイの日本盤がいつの間にか出ていたのですぐ入手手続き。うちではブルーレイが再生できるのはパソコンだけ。ディスクを入れるとなんとかの更新が必要の表示で再生できない。調べると再生ソフトを新しいヴァージョンのものに入れ換えなくてはいけないような書き込みがある。実家にあるブルーレイプレイヤーではちゃんと再生できる。これだからデジタルは、とデジタル恨み。