唐ぬ世から

仲宗根浩

四月終わりから五月初めの連休はシフトで見事に仕事が入る。まじめに働く。

そんな中、六年ぶりに会う昔の職場の同僚と八時間耐久飲酒。
途中、私の大好きだったベーシスト、国仲勝男の知り合いの方がやっているスナックに寄る。昔、ある音楽雑誌でライターもどきをやっていた頃、近所の店にライヴで来た時に色々話を聴こうと思っていたら、演奏終了後、そんなのいいからいっしょに飲もうと強制的に誘われ、取材などさせてもらえず、ライヴに来ていた昔馴染みのスナックのおねぇさんがたといっしょに飲み、帰りしな、お店の名刺をもらって別れた。そのあと、名刺はどこかにいってしまったが、図書館に行く途中、中の町の飲み屋街を歩いていると、かすかな記憶にある名刺と同じ名前の店の看板があったのでずーっと気になっていた。あれから十数年経ったであろう、ある日、夜の中の町の飲み屋街を歩いていると急にあのおねぇさんたちの店を確認してみようと酒の勢いもあり、階段をあがり店の入口でその時の話をすると覚えていてくれた。その時はカラオケで盛り上がっているお客さんもいたのでまた来ることをお約束し、やっとお店にお邪魔し、ゆっくりと当時のことを聴くことができた。国仲勝男のLPを買った高校生は熊本で沖縄の音楽の状況とか全然知らない。おねぇさんたちも音楽よりもその頃溜まっていたディスコでいっしょに飲んでいたことを話してくれた。国仲勝男の映像は「山下洋輔トリオ復活祭」のDVDで見ることができる。でもベースは弾いていない。

長時間飲酒の翌日、起きてもつかいものにならず惰眠。連休が終わると沖縄は梅雨に入るが、今年はゆっくりだなぁと思っていいると、五月十四日に梅雨入り。

最近、楽器を触っていないので近所の楽器屋さんにギターの弦を買いに行くと、CDやDVDの取り扱いをやめるとかの告知が出ている。その数日後、以前働いていたCD屋の沖縄の店舗が閉店する記事を新聞で見る。今はしょうがないか、とおもう。音楽ソフト、DVDは全部ネットで購入している。近所の楽器屋さんのCDコーナーを見るとレアなジャケットのものが売れずに残っているのを発見したが中身は同じなのにジャケ違いで購入するとまたあれがあれこれいうのがわかるので購入を諦めた。時代は変わる。

近所を歩いていると「屈辱の日」の集会のちらしが電柱にまだ貼られている。どの政党もどの団体も貼りっぱなし、あとはほったらかし。
「唐ぬ世から大和の世 大和の世からアメリカ世 アメリカ世からまた大和の世 ひるまさ変わたるくぬ沖縄」と嘉手苅林昌、佐渡山豊も歌ったこの一節が「沖縄を返せ」よりしたたかだとおもう。

梅雨の中休みは見事な入道雲
本格的に夏が始まり、東京にいた頃の若造は沖縄で五十になった