暑いけど、秋っぽい

仲宗根浩

九月に入るといきなり旧盆がやってきてすぐ過ぎて行った。お盆で帰って来た姉、甥っ子を送るため空港へ行く前に国際通りに寄る。一年ぶりだったが、前にも増して観光客相手のお店がこれでもか、と迫ってくる。夜の飲屋街のキャッチのお兄さんのごとく道行くひとに声をかけ店のちらしを渡しながら、ランチの客引きに精を出す。昔、うちの近所が米兵相手にしていた客引きの光景が昼にかわり、相手が観光客にかわっただけか。暑さと人ごみに疲れ、国際通りに行ったときには必ず寄る沖縄そば屋、ここもだんだん知れ渡るとことなり、観光客が増えてきたけど、店の中はいつも通りの佇まい。

お国の大臣があたらしくなって、近くの泡瀬干潟の埋め立て中断発言に慌てる人々。前に推進する市会議員が埋め立てができると人工ビーチが造られ、みんながビーチバレーができていいじゃないか、とテレビで言っていたのを見たとき笑えてきた。暑い日差しの中、陰がない砂浜にどれだけの人が行くのか。ここはそんなにビーチバレーが盛んなところか。昔からあるビーチがどんどん閉鎖するなか、砂をよそから持ってきた、ビーチだけが増え、モクマオウの木陰などない。

天気予報では最高気温が毎日判で押したように33度だったのが32度か31度になり、風もからっとして気持ちよくなった、と思ったら急な雨が降ったりしていきなり蒸し暑くなる。クーラーが効いたところから外に出ると眼鏡は曇る。家ではまた、クーラーを稼働。畳の次は網戸を張り替え、部屋のなかは処分するものがまとめて置かれる。考えてみたらいま住んでいるところが一番長くなった。沖縄に住んでいる時間はまだ沖縄の外にいた時間より三年ばかり短い。

盆とお彼岸があった九月は過ぎたからもう少し涼しくなるだろう。そうしたら海で泳ごう。