港大尋 声とギター

三橋圭介

5月1日、水牛レーベルから港大尋の弾き語りのアルバム「声とギター」を発売する。2年くらい前にエレガットの弾き語りをためこんでいることを知って、CD化を計画していた。「がやがやのうた」に続く港との共同プロデュースで、弾き語りから相棒の澤和幸のギター(デザイン担当)、シャンティのコーラス、Bakuのワイゼンボーンなどを加え、新曲を含む12曲を録音。独自の詩の世界がボサノヴァ風からブルース風まで色とりどりにギターのさわやかな風にのって運ばれる。「声とギター」というタイトルは、ブラジルのジョアン・ジルベルトやカエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジルなどの傑作にあるように、音楽の基本だ。バンド「ソシエテ・コントル・レタ」を率いる港が数年前、再びギターを手にし、中学時代、ギター少年だったころの熱い思いをよみがえらせていることから、あえてこの名前にした。もちろん音楽の基本へと帰ることだが、それは同時に素のままの自己をさらけだすことでもある。自己の世界に酔いしれなければできない。だが、一方でそれではダメと、魅力的な仲間の力を借りて距離を保とうとする港がいる。「港大尋 声w?とギター」はそのあいだにあり、港大尋という音楽家の素顔をのぞくことができる。CD発売に合わせていくつかライヴがあるので、まずはライヴで弾き語りを聴いてもらえるとうれしい。