がやがや

三橋圭介

先日、港大尋と「がやがや」(障害者と健常者のグループ)の練習に参加した。はじめて行く光が丘駅周辺の人工的な雰囲気に飲み込まれながら、稽古場の区民会館に到着。打ち合わせで「がやがや」のメンバーが集まる一時間前に行ったが、もう何人か集まりはじめている。ぞくぞくやってくる。がやがやしはじめた。沈黙は金ではない。きっと「がやがや」という人間たちの集まりはみんなにとって大事な時間なのだろう。みんなひさしぶりに会って楽しそう。がやがや。なかにはほとんど話をしない子もいる。そこにいるだけで安心。がやがや。いつもしゃべっている子もいる。がやがや。ライヴのときに見かけなかった新入りさんもいる。私に話かけてくれる。がやがや。全員の自己紹介のあと、誰かが「歌おうよ」と言いだす。港がギターを取りだし、音楽がはじまる。ライヴのとき以来「がやがや」は歌をうたっていなかった。でもはじまると声が集まる。それまでほとんど話もしなかった子がうたいはじめる。林光の「雨の音楽」がはじける。一人の男性のはりきる声がみんなを誘う。縦ノリのリズム。それでもいい。歌わない人もいる。にこにこ笑って楽しそうに見ている。だれも彼に「いっしょに歌おう」とはいわない。でもがやがやの輪のなかに、それぞれきちんと自分の居場所がある。