大学生だったころ、サンタクロースのアルバイトをやったことがある。某デパートのクリスマスプレゼントをサンタが届けるという。綿の付け髭が何とも安っぽい。こんなの信じる子どもがいるんかと。当時の僕は20歳。痩せていて貫禄もない。
しかしだ。ピンポーンとドアをあけると子どもがウルウルしている。
「お母さん、嘘つかなかったでしょ!」と得意そうな母親。高学年の子どもですら、サンタを信じているんだ。
軽トラの助手席でお弁当を食べるとき、付け髭を外していたら、「子ども達の夢を壊すといけないので、髭はつけたままにしてください」しぶしぶ、髭をすこしもちあげて、もぐもぐとお弁当を口にもっていって食べたのを思い出す。
僕は、小学校に入ったらサンタの存在はおかしいとさとった。うちには、当時お風呂を薪でくべていたけど、小さな煙突しかない。あんなとこから入ってくるはずはないし、玄関は戸締りが厳しかった。一度夜に泥棒がはいったことがあり、父ちゃんも、かあちゃんも爆睡していて誰も気が付かず、朝居間が足跡で荒されていた。それ以来、戸締りには神経質だ。
父ちゃんに町のお店で、「あの赤い車買ってほしい」といったらそっくり同じものがクリスマスに枕元に置いてあった。どう考えても、父ちゃんがおいておいたとしか思えない。そこで、ある日、「サンタクロースなんていないんでしょ。父ちゃんがやったんでしょ」と問いただした。親は、あっさりと認めてしまった。ちょっとがっかりだ。
なので、こんな子供だましのサンタなんかあほらしいな、子どももだませないなと思っていたが、意外と、子どもは素直だった。それ以来、いつか、本物の髭が白くなってサンタになりたいというのが私の夢となったのだ。
東日本大震災では相玉県の騎西が双葉町の避難所になっていて、炊き出しに行くのにサンタの格好をしてJIM-NETのがんの子どもが描いた絵を使ったチョコを配りにいった。しかし、全然受けない。子ども達が喜んでくれると思ったのだが、実は数日前に、ノルウェーから見るからに本物のサンタっぽい人がやってきたらしい。
そのままの格好で、2歳半の息子にプレゼントを渡そうと家に戻ってピンポンとおすと、息子が出てきて、「あ! パパがサンタの格好している!」と見破られてしまった。
その息子も小学校2年生。普段会えないので、誕生日とクリスマスのプレゼントはどうしても贅沢なものに。こないだは任天堂のスイッチがほしいというからいいよいいよといったものの、さすがに、4万円もする。もう少し安物で何かないかと元妻に聞いてもらった。
こないだ、本人に会ったときに、「クリスマスに何がほしいんだい? ただし、一万円を超えたらだめだよ」といったら、「上限をきめるって、パパがサンタさんなの?」って聞いてきた。いままで、パパの貢献をアピールするために、クリスマスプレゼントはサンタじゃなくて、パパからだ! のつもりだったのに、元妻は、サンタさんからといって渡していたのか! と思えば腹立たしいのだが、「こいつ、サンタを信じているのか?」と思うとちょっとほほえましい。
「サンタは、みんなにプレゼントをくばるでしょ。君だけに高いものを買えないんだよ」と分かち合いの精神を教えたつもり。
ぜひ、クリスマスのプレゼントにJIM-NETのチョコを忍ばせて、助け合いの精神を注入してください。
チョコの申し込みはこちら
https://www.jim-net.org/support/choco_donation/