5月はあわただしく過ぎてしまい、疲れが抜けきれずダウンしてしまった。というわけで、今月は5月に参加した公演の手短な記録。
●5月10日(土)『初夏 ガムランの風』
スペース天(大阪府豊能郡)にて
ガムラン音楽団体、マルガサリの本拠地でのコンサート。無料。3月29日のマルガサリ公演「ふるえ ゆらぎ ただよう」(『水牛』2025年4月号でその様子について書いている)で演奏されたスボウォ氏の歌「タントリポロ」、「バニュミリ」が再演され、今回は1人で舞踊をつける。ジャワ宮廷舞踊で用いられる動きを用い、ブドヨ曲の時のように振付を展開させる流れを作ってみた。
スボウォ氏の曲は宗教的、瞑想的で、私が思い描くブドヨのような雰囲気に合う。この曲ならではの動きを見つけるのが今後の課題で、今回はまだ模索の途上。
●5月18日(日)大阪能楽大連吟
四天王寺・五智光院にて
大連吟というのはこのプロジェクトの造語。連吟は謡曲の特定部分を複数の人が声をそろえて謡うことだが、それを1万人の第九よろしく大人数でやろう(演目は『高砂』)というのが大連吟で、2008年に京都で始まった。大阪能楽大連吟は観世流の齊藤信輔氏と今村哲朗氏が2018年に開始した。対面のお稽古と音源をいただいての自主練習を重ね、プロの能楽師が創る本格的な舞台に参加できるというもの。私は初回、前回(ただし本番には体調を崩して出演できなかったが)に続いての参加。斎藤氏は2007年に私が企画した事業『能の表現と能を取り巻く文化』でインドネシア公演に行ってくださった方である。ちなみに公演に出演された小鼓の清水晧祐氏、大鼓の守家由訓氏もそう。そして太鼓の中田一葉氏はインドネシアに行ってくださった中田弘美氏の御子息。
今回になって初めて実感できたのが、謡は声というより息をコントロールするものなのだなあということ。カーレーサーの能楽師が、自分の体(車)に息を載せ、スピードを段階的に変えたり、直線を進んだかと思えばジグザグに切り替えたりしながら疾走していくような感じだ。
●5月28日(水)十津川村・大踊り
大阪・関西万博、Expoアリーナにて
5月27日~29日に万博で催された奈良県のPRイベントの一環として、2022年にユネスコ無形文化遺産に登録された十津川村の3地区の大踊りの公演(各地区15分)のうち、武蔵地区に参加。私もメンバーになっている中川眞氏が主宰する村外での十津川村の盆踊り練習会にも声がかかって、数人が参加したのだった。中川氏は十津川村で40年以上、盆踊りを始めとする民俗調査を続けており、現在は過疎化による後継者不足の対策として、村と都市からの共創に取り組んでいる。私は日本の伝統芸能を専攻していた大学生時代に中川氏の盆踊り調査に参加していて、その後も断続的に関わってきたのだった。実は、私がガムランを始めたきっかけもこの盆踊り調査がきっかけで、夏の調査が終わって中川氏が当時代表をしていたダルマブダヤに参加した。
私が初めて調査に参加した時には、大踊りは奈良県の無形文化財には指定されていたものの、国の指定はまだという状況だった。当時、調査で行っていた学生は、大踊りだけは一緒に踊ることはせず見ていた。それを万博の舞台で一緒に踊らせていただける日がこようとは、当時は思いもよらなかった。