グロッソラリー―ない ので ある―(29)

明智尚希

「1月1日:『やれやれ。松子も当てにならないな。ほんとやれやれだ。人の資質は判断力で決まるなんていうけど、俺は完全に駄目人間だな。わはは。駄目でいいよ駄目で。全然構わないよ。駄目の何が悪いんだってんだよ。誰だって欠点の一つや二つはあるだろうに。なんで判断力だけでその人全体を全否定するんだ。わけわからねえよ』」。

(`ε´) ぶーぶー

 汝自身を知れという格言がある。自身の諸相とは日常生活の随所ではち合わせる。繰り返しの日々にあって、この自覚的な認識の線から漏れる相もある。自身を知るとは、漏れた相へ頻々と目配せして魂の配慮をしろということなのだろう。が、自身を知った上での言動を求められるのが現代である。格言を刻んだ哲学者は、やはり古代に収まる。

エートォ (・o・) エートォ ?

 「ごめんちょっとだけ言わせてほしい。食欲があるから性欲があるのか。性欲があるから食欲があるのか。食欲がなくても性欲はあるのか。性欲がなくても食欲はあるのか。食物があるから静寂があるのか。静寂があるから食物があるのか。植物があるから聖女がいるのか。聖女がいるから植物があるのか。ああんもう、どうかなっちゃってるわ」。

(´◉◞౪◟◉) (╬ಠ益ಠ)

 人間の特質上、日々が幸福の連続だったなら、幸福にうんざりするか幸福を失うことへの不安で一杯になるかのいずれかだろう。前者なら、かりそめの恵まれない生活に身を落とし、疲れて帰ってコップ一杯の水で不運でないことを知る機会を得られるが、後者だと、立ち直るのも困難な恵まれない生活、ことに精神生活を送ることになる。

((((_ _|||)) ))ドヨーン

 げらえもてらえも 菜ちゃせりぱっぱ
運じゅあしがら どのおとめんこ
ずいしゃあこらた 四どくばいさ
ぐらいい火らりい づまごくれんよ
どんで見かそれ うーたらごんさ

〈( ^.^)ノヽ(^。^)ノあっそれそれ

 失敗は成功の元というが、あまりにも失敗に失敗を重ねると、失敗に対する認識に狂いが生じ、失敗という言葉が不似合いになり、失敗している状態が普通もしくは常態となる。それだけではない。いつも通り失敗街道を安心して進んでいる最中、突如として成功に出くわすと、これはもう恐怖以外の何ものでもない。この成功が原因で失敗する。

ビクッ! ウソーン !!Σ(;゚ω゚ノ)ノ

 「1月1日:『あとカネな。彼女作るのでも、若い頃でも二十代半ばはまだいい。後半になってくると年収はどれくらいだの貯金はいくらだのと聞いてくる。俺と付き合うのかカネと付き合うのかわかりゃしない。俺みたいな安月給の貯金なしは、そこでアウト。良家のお嬢様ぶった女に限って、というかだからこそ、カネへの執着はすごい』」。

カネ щ(▽‐▽щ) カネ

 巧みに巧んだ内弁慶の外地蔵が、荒物屋のパノラマと平仄が合うので八方突破して、ここより入る者、一切の望みを捨てよ、を突き抜けた。ぶっちがいに出来したあまのじゃくは、角をなまらせて後事を託し、大所高所の憂国論を展開した。白玉楼中の人は三味線かもしれず、幸福な社会を作るには、分かち合いでなくパイを拡大すればいい。

‥( ̄し_ ̄;)‥ぇ?

 苦痛から逃れたいのなら、とことんまで苦痛を味わうことだ。苦杯があれば自らすすんであおり、苦難があれば喜んで飛び込んでいく。人間は飽きっぽい。人間は何にでも順応する。長い間この苦行と付き合っていれば、苦痛の威力は減退するだろう。もっとも、精神・神経が磨滅し、もはや人間と称せない状態になっているかもしれないが。

皿≦)。゜。ううううぅぅぅ

 わしにも敵はいる。二三人、七八人、いや全員じゃ全員。この国の国民全員。いや世界中じゃ世界中。み〜んな敵。敵は知恵を絞って嫌がらせを仕掛けてくる。その嫌がらせの対象が、わしの弱点ということじゃ。こちとら弱点を突かれて崩れまいと、自己存在に密着する。効果はあらたかじゃ。こうして弱点と敵を懐柔しとけばよかったんじゃ。

( ^ー^)⌒ノθスリッパアターック!

 「1月1日:『でも本物の良家のお嬢様ってカネカネ言わないぞ。世田谷世田谷言わないぞ。俺の知る限りでは、本物は、そんなものには全く興味なさそうな穏やかな表情をしていて、なおかつ無口なんだ。話題を振ってはじめて小さい声で喋りだす。しかも微笑を浮かべている。本人の口から聞かずとも良家のお嬢様ってわかるんだよな』」。

ポッ(。-_-。)。。oO

 決まった時間に駅へ行き、決まった車両に乗り、決まった場所に立つ。決まった人が下車し、決まった人が乗ってくる。確定しすぎた現実は胡乱なものである。Aが確固たるものであるほど、逆にあるBを連想するのが人間の哀しい性。胡乱なものの同類項として夢や希望がある。だがそれらは輪をかけて胡乱なものとしか言いようがない。

イイ夢ミテネ─゚+。d(`ゝc_・´)゚+。─ッ♪

 何事もじっくり待つのが肝要。ただし待つのを待ってはならない。

待ッテルョ_〆(*´∀`*◎))o

 アートか猥褻かという議論は百年以上前からあり、野菜、おかず、ご飯と食べる順番を変えていくが、契約成立後は訂正できない。有名人になるととかくねだられがちな日本列島の太平洋側では、SNSが民主主義を後退させ石造りの町へと変化し、艶熟の極みに達した大人の女の魅力と女性の美を感じさせるコンプレックスを抱いている。

(。・ρ・)o―⊂ZZZ⊃ フランク食べる?

 受益者負担に任せて、一人だけ前貼り一枚で逆噴射。オートポイエーシスに割り込んで最後通牒ゲームをした結果ミーメーシスに死す。青方偏移しながら、エスニックジョークを飛ばしに飛ばす。とばっちりの白夜行をしたわけではござらん。ブロック時空で遊んだだけ。守破離、徳目、無慮幾万。手元不如意につき右手で思わず自らを慰めた。

わかりま━─━((乂(д― )三( ―д)乂) )━─━糸泉

 同じ人に何度も欠点や弱点を指摘されても落ち込むことはない。悪口ばかり言う人たちほど、センシティブでもろいプライドの持ち主はいないからである。口撃して悦に入るが、口撃されると心棒が容易に折れてしまう。そのくせ執念深さでは右に出る者はなく、心棒を修繕しながら、過去の口撃に倍する復讐を実行するタイミングを測っている。

バチバチ…( ・_・)–*–(・_・ )バチバチ…

 「1月1日:『おまえもいずれは彼女を作るんだろうけど、似非お嬢様には気をつけろよ。昔なぽろっと貧乏だからと言ってしまった女がいて、大慌てで『貧乏症だから』と必死に訂正してた。もういいじゃん貧乏で。実際そんなにカネ持ってなかったから、まあおごらされるわ。飲めもしないのにワインバーとか行って全部こっち持ちだ』」。

フザケンナコノヤロウ (#゚Д゚)┌┛)´Д`).:∵

 出会いは別れの始まり。特にスクランブル交差点では、出会った瞬間に別れが連続的に来る。一期一会。出会いなど大切にしていられない。まちまちの服装をしそれぞれの方角へ向かう人間。その多さ。人間の大量生産という気持ち悪い事実に、逃げ出したくなる。だが逃げ出したところで、多少趣を異にする人間地獄に行き当たるだけである。

(☝ ՞ਊ ՞)☝✌( ՞ਊ ՞)✌

 「酒臭いぞ」「そうか?」「飲んだだろ」「飲んでない」「いや、飲んだろって」「だから飲んでないって」「じゃあなんで酒臭いんだよ」「昔飲んだにおいだろ」「昔って午前中だろ」「午前中は飲んでない」「飲んだ」「飲んでない」「飲んだって」「飲んでないって」「正直に言えよ」「正直に言ってる」「飲んだと言えばそれで終わるのに」「飲んだ」。

(_ _,)/~~▽パタパタ マイッタ

 逆境の中にいることが順境になっている人は恐ろしい。長い苦痛や困難は人格を歪め、価値観を転倒させる。喜怒哀楽の感情の全てがフラットになり、そのまま他人に適用される。何気なく人を傷つけても、また命を奪っても事前と同じ心理でいる。どんな講釈や説教も通じない。こうしたサイコパスを見ると、地獄はあるのかもしれないと思う。

(・△・) ムヒョウジョウ

 絶対知が得られないのを残念に思いつつ、わしゃ自己の格率に乗ってここまで来た。何度も途中下車して不毛な限界状況と対峙し、非力と猜疑心を強くしたもんじゃ。その度に格率を軌道修正し、最後にはあってもなくても同じ内容になった。赤子と老人は似ているというが、まさにそうじゃな。絶対無知。風呂を沸かす時間も、もう忘れたわい。

(。・~・。)バブー