不問璃葉 奥底に沈んだ記憶が 前触れもなく 唐突に 水面に上がってくる 最早 その記憶に原型はない 岩肌のような ざらざらした ぬめっとした 周りは淡く光っているが決して明るくはない 鮮明なのは 質感と懐かしさ いつ どこ だれ 生暖かい風が 懐かしさの空気が生まれ腹のあたりでうごめく そして それ以上思い出すことを恐れている自分がいる