157立詩(5)追伸(ついしん)

藤井貞和

1969年て、「無惨な思想の工場」(または胸のなかの……)で、
「生きてきた失語の優しい活字たち」で、
星の鏃(やじり)で占拠や封鎖して、解放し、
漢字を割いてかなをとりだして鑢切ってタイプ印刷で、
野荒らしの日の編集会議が休刊続きで、
困難反戦日比谷六月の使者ゲバメット黙祷転位の詩篇で、
死体で帰ってきて帰ってきたことに間違いなくて、
ほんとだってば関係は持続するよ思想に背景はないんだからって、
無い哲学を聴いてまっ赤なぬかるみの「形容辞」に聴いて、
牕から突き出されて無い形容辞で白銀の60年代は終わって、
聴き手に求めたすべてが報われてまたは報われなくて

(「追伸」。でも「追悼」と読まれるので「ついしん」と書きます。この世への「ついしん」を書いて亡くなった遠ざかる友人たちのために、けっして「ついとう」しません。)