161立詩(10)文法擬

藤井貞和

この世へのちいさな「恋」よ、
……、
文末に終助辞を置かないで。
届けられようにして、
最初に置く係(かか)り結びは、文中で、
あなたの詩を輝線にする。 ……、
文の革命でしたね。 物語歌(うた)は、
ない話法や、
なかった承接(しょうせつ)を、
約束する、無文字(むもじ)の視界に。
終りがよければ
 

(「立詩」は立志、律詩。腰斬という刑死がありました。詩人の死です。終止符を打たないで下さい、なぜと問うて。)