だれもいなくなる画面をのこして、
廃墟になりました。
文字は消され、朽ちて、
石窟の出口から
一千年のかなたへ、
音声の航跡を引いて出てゆくと、
しばらくのあと
われらは舟形の遺跡になりました。
あれ、帆影をうたに変換する空の乗り物です。
視聴ありがとう。 銅鐸を鳴らします。
舳さきに提げて、サインを送る春のゆうべです。
音声は終わる海の庭、石になります。
ことしはつらい始まりだった、
夏には入院もありました。 大河ドラマの、
『光る君へ』の藤原伊周(これちか)さんが、
呪詛の失語症です。 秋になると、
保育園を落ちた姉御も、
じゃねーのかよ (よかのーねやじ)
ならねーだろ (ろだーねらな)
あるかよ ボケ (ケボ よかるあ)
ふりんしてもいいし (しいいもてしんりふ)
わいろうけとるのもどーでもいいから
(らかいいもでーどものるとけうろいわ)
まじ いいかげんにしろ (ろしにんげかいい じま)
保育園落ちた 日本死ね!!!(たちおんえくいほ
ねしんほに!!!)
ねしんほに、冬の廃墟です。
(どこへ行こうとしてるのかしらね、神さまほとけさまの国、われら。闇バイトのどろてきが、屋根のしたまでやってくる。引用は「保育園落ちた日本死ね!!!」〈2016〉より。)