暁の調べ――翠ぬ宝78

藤井貞和

火口を、(暁だな、)
いつまでもひらく、
夢のなかで

数千の 白い人々、
夢のなかで (魔よ)

魔よ、醒めるな、
眠りとは氷の一粒で溶けるはずの

ちいさな技術です。 とわに、
溶けることのない
凍る 暁の夢です

(「暁の調べ」は『うつほ物語』〈楼の上〉下巻から。この数日、たてつづけに、火口の、火山の悪夢が痛々しいです。〈リビアの?〉空爆のもとにいるかと思うと、火口です。「隣国に走り火さすな。鎮まれと、山ををろがむ山禰宜たちよ」〈晶子〉。句読点のついているのは迢空が引用するからです。)