123アカバナー(8)ガガガガ

藤井貞和

以前にみた漫画で、子どもに「おじいちゃん、どんな女優さんが好き?」と聞かれて、
(介護の関係で、どんな話題でもよいから、子どもは話しかけていたようです。)
ご老人が「うん、レイディー・ガガ」と答えたもんで、周囲が心配する、というのが
ありました。 (あっ、黒田喜夫没後30周年特集『gaga』をありがとうございます。)
ずっと以前に、高校生が、「我」という字を調べて、「刃がぎざぎざになった戈(ほこ)を
描いた象形文字だ」(新字源)と教えてくれました。 おどろいて、私は、我(われ、
わたし)が、どうして刃のぎざぎざの戈なのか、と心配になりました。 ははは。
別の辞書には、「のこぎりのかたちを描いている」ともあって、もっとびっくりしました。
ホームセンターの製材屋さんに、そんなのがありますよね。 (で、ここに、

廻転のこぎりの絵を描いてください。)
私は電動廻転のこぎりです。 我我我我(がががが)、と廻転して切ります。 一日中、
廻転しながら、都内を切りきざみまして、お疲れです。 我執(がしゅう)ですね。

(峨峨とつづく山の稜線はぎざぎざです。我(ぎ)我(ざ)我(ぎ)我(ざ)でしょうか。象形でなく、ガという音(おん)を借りて「われ」〈=ガ〉をあらわした、仮借(かしゃ)文字だ、というのがまた別の辞書の説明です。カシャカシャ。わが廻転のこぎりはようやく帰宅できまして、今夜はどんな悪夢を見るか、また心配ですね。)