そろそろと分類のことなど

大野晋

とにかく、うちにあるCDの全貌が把握できなくなってから随分と経つ。並べて置くことができないので、仕方なく、積み重ねたがいいがそれでもタワーがいくつもできて、しようがないので奥の方から箱に入れてしまい込んだ。しまい込んだはいいが、今度はどこに入ったか分からない。そんな箱がいくつもできると、終にはどこに何があるのか分からないお手上げの状態になる。実は本も似たような状態なのだが、これはまた別の機会に。

そこで、この状況を打開すべく、そして、わが寝床を確保すべく、いろいろと画策しているのだが、おかげでこの夏は特別に暑く、特別に何もできないことになってしまった。この状況はまだしばらく続きそうなのだが、できれば数ヶ月先には解消できればいいと淡い希望を抱いている。

しまい込んだ箱を開けることを考えると、その中身を分類することを考える必要がある。クラシックにとどまらず、雑多な音源が詰まっているので、それをどのように広げるかは一大問題だ。そこで、音楽の分類について考えてみた。

音楽を分類するとき、どのように考えるべきなのか? クラシック、ポップス、ジャズなどとジャンル別に分けるだけで十分だろうか?たとえば、バーンスタインのウェストサイド・ストーリーはどの分野に分けるべきなのか? スタジオ録音とサントラを同じ分類でいいのか? ガーシュインは? 若きティルソン・トーマスが指揮をしたサラ・ボーンのライブ録音はジャズなのだろうか? それともクラシックなのか? ピアノのスワニーはジャズに分類するとして、では、ラプソディ・イン・ブルーはどう分類しようか? そんなことを考えていると、実はカテゴリー分けなんて実にいい加減なものであることに思い当たる。さてさて、どうして分類してくれようか?

音楽の提供形態なんていうのはどうだろうか? コンサート、劇(映画)音楽、録音(CD)などというのはどうだろう? でも、私のCDの有効な分類方法ではなさそうな気がするけど。

演奏スタイルというのは? ソロ、少人数、多人数なんていう分類も面白い。なるほど、これに音楽のスタイルを組み合わせると面白い分類ができそうだ。

たとえば、ショパンのピアノのソロコンサートは、「コンサート+ピアノ・ソロ+クラシカル」。スターウォーズの映画の音楽は、「映画音楽+多人数(オーケストラ)+クラシカル」といった具合である。ただし、ハリウッドボールでの、メータ指揮のコンサート形式の演奏会は「コンサート+多人数(オーケストラ)+クラシカル」になるのか? ロイヤルフィルの演奏したクイーンのオーケストラ編曲集などは「CD+多人数(オーケストラ)+ロック」?

実は、こんな話を考えるきっかけになったのは、毎度、名曲コンサートになってしまう弱小プロオーケストラのプログラムについて考えていたこともひとつある。「コンサート+多人数(オーケストラ)」なら、後ろのジャンルはどうとでもできるだろう。たとえゲームに付随してできた音楽でもオーケストラ編成に編曲され、コンサート形式に整えられているのなら、別段、定期演奏会にかかってもおかしくない。むしろ、聞く機会の少なくなった名曲よりも、頻繁に聞く機会のあるゲームやドラマ、映画の音楽の方が若者たちには訴求できるのではないだろうか?

ま。なんとなく、狭い殻に閉じ篭っている感じをならなかったのだ。ベルリオーズの幻想とエクソシストのチューブラーベルズが一緒にプログラムに並んでも、伊福部のゴジラと春の祭典が一緒に並んでも、いいんじゃないかな?

というようなことを考えていると、意外と我々の考える音楽ジャンルなんていい加減なものに思えてきた。いい加減なら、CDもこのままでいいか。。。いや、いかん! いかん! すでに重複チェックもできなくなって同じCDが何枚もある状態なのだから、なんとか、脱却せねば。

さて、皆さんのCDはどんな感じで並んでいますか? ちなみに、うちのiPodはぎっしりといっぱいに、これもまた雑然と詰まっています。あれ? いずこも変わらず?