トイレット・ボウルにおける挫折

片岡義男

天窓の斜めのガラスに積もる雪
かなえられなかった夢のように
先にのばされた期待のように。
洗面台の三面鏡が
今朝も彼女に語ること
この胸の奥深く
いつのまに抱えたのか
夢の実現という主題。
挫折の大きさに正しく比例して
微笑の魅力は深まった。