オトメンと指を差されて(休)

大久保ゆう

暑中お見舞い申し上げます。
猛暑のなか皆様いかがお過ごしでしょうか。わたくしはただいま17世紀にて旅をしております。本当は絵葉書などをお送りできるとよかったのですが、いかんせん想像のなかの世界というものは、実体を取り出せぬものでありまして、たいへん申し訳ございません。今回はある男の足取りを追っているのですが、そいつはまずヴェネツィアに現れ、そのあとロンドン、さらに大西洋を越えて、アメリカにも渡っている模様。見えるものをすべて〈風光明媚〉と言えると気持ちは楽になりそうですが、もはやこれは過酷というほかありません。はやくびわこにかえりたい。お土産は論文ひとつでよろしいでしょうか。それとも旅のさなか慰みにした翻訳でしょうか。いやむしろ面白そうな本を何冊か持ち帰った方がいいかもしれませんね。ご期待に添えるよう頑張ります。どうかみなさまくれぐれもご体調には気を付けてお過ごしくださいませ。

17世紀の真夏のある日より